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成人と合わせて評価可能な小児の臨床評価の留意点を厚労省が事務連絡
小児の用法・用量の開発が進みにくい状況にあることを踏まえて 2020.08.01健康・医療

 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は令和2年6月30日、小児を対象とした医薬品の臨床開発の一層の効率化・適正化を図ることを目的として、都道府県に対して、「成人と合わせて評価可能な小児(10歳又は12歳以上の小児)の臨床評価の留意点について」の事務連絡を行った。これは、小児の用法・用量の開発が進みにくい状況にあることを踏まえて、成人と合わせて評価可能な小児の疾患あるいは薬剤として、2型糖尿病、家族性高コレステロール血症、アレルギー疾患、抗菌薬・抗ウイルス薬、造血器悪性腫瘍をとりあげ、臨床評価の留意点をまとめたものである。

ポイント

  • 10歳または12歳以上の小児を臨床試験に組み入れる場合の留意点を示す
  • 成人と合わせて評価可能な疾患として2型糖尿病、アレルギー疾患ほか
  • 造血器悪性腫瘍も成人と合わせて評価可能だが、副作用に対する認容性が年齢によって異なることに留意を

医薬品規制調和国際会議が小児集団に対する臨床試験に関する考え方を取りまとめ

小児の医薬品の用法・用量の開発が進みにくい主な理由は、臨床試験の実施が難しい場合があること、医薬品としての市場規模が小さくて経済的なインセンティブが働きにくいこと、などが挙げられる。一方で、小児を対象とした臨床試験に基づき用法・用量が設定された医薬品では、12歳以上の小児に対して成人と同一の用法・用量が承認されているものもある。また、それぞれの臨床試験で組み入れられた年齢区分が異なった結果、薬剤ごとに投与対象となる小児の年齢区分が異なっている、という場合もある。

それに関して国際的にみると、医薬品規制調和国際会議(ICH)が、小児集団に対する臨床試験に関する考え方をまとめている(後述)。また、米国食品医薬品局(FDA)が、抗悪性腫瘍薬の臨床評価について、病理学的・生物学的特徴が成人とAdolescents(思春期の人)で類似していると考えられる悪性腫瘍については、Adolescentsを成人の臨床試験に含めるべきとするガイダンス案を公表している。

そのような状況を踏まえて、厚生労働省(厚労省)は、小児を対象とした医薬品の臨床開発の一層の効率化・適正化を図ることを目的として、成人と合わせて評価可能な小児の年齢層および疾患について、臨床評価の留意点をまとめた。それに先立ち、今年1月から2月にかけて「成人と合わせて評価可能な小児の臨床評価の留意点について(案)」を提示し、パブリックコメントとして意見を求めた。同省では、そこでの意見を踏まえて若干の修正をしたうえで、6月30日に「成人と合わせて評価可能な小児(10歳又は12歳以上の小児)の臨床評価の留意点について」(以下、「小児の臨床評価の留意点」)として事務連絡を行った。

「小児の臨床評価の留意点」の構成は下表のとおりである。

「成人と合わせて評価可能な小児(10 歳又は12 歳以上の小児)の
臨床評価の留意点について」の構成

  1. Ⅰ.総論
  2. 1.背景及び目的
  3. 2.対象年齢について
  4. 3.対象疾患について
  5. 4.小児を組入れる臨床試験について
  6. 5.市販後の情報収集及び情報提供について
  7. 6.倫理的配慮
  8. 7.ICHの小児関連のガイドラインとの関係
  9. 8.各薬剤開発において考慮する事項について
  10. Ⅱ.対象疾患毎の事項
  11. 1.2型糖尿病
  12. 2.家族性高コレステロール血症
  13. 3.アレルギー疾患
  14. 3-1 気管支喘息
  15. 3-2 アレルギー性鼻炎
  16. 4.抗ウイルス薬、抗菌薬
  17. 5.造血器悪性腫瘍
  1. 出典:厚生労働省 令和2年6月30日 事務連絡

必要に応じて思春期未発来者を除外する

「小児の臨床評価の留意点」では、対象年齢については「10歳又は12歳以上」と表記している。パブリックコメントでは「10歳以上で成人のばらつきの範囲に入っている集団が一定数いるのであれば、12歳以上については言及する必要はない」として、「10歳以上」のみ記載するように検討を求める意見があった。それに対して、厚労省では「基本的に12歳以上を対象としていますが、疾患領域により10歳以上を対象とすることも考慮しました」と回答している。

 臨床試験への小児の組み入れにあたっては安全性を考慮し、著しく低身長や低体重の小児を除外することを検討する。必要に応じて思春期未発来者を除外するなど、第二次性徴等も考慮する。

その実施に際しては、倫理的配慮も重要である。例えば、小児被験者の権利を守り、回避可能なリスクから保護し、苦痛を最小化するなどの特別な配慮が必要である。また、関連するICHガイドラインに従い、試験計画を作成、実施する必要がある、としている。

そのICHガイドラインについては、①小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて(平成12年12月15日付け医薬審第1334号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)、②小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスに関する質疑応答集(Q&A)について(平成13年6月22日付け厚生労働省医薬局審査管理課事務連絡)、③小児集団における医薬品開発の臨床試験に関するガイダンスの補遺について(平成29年12月27日付け薬生審査発1227第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)などで紹介・説明がなされている。

成人と合わせて評価可能な小児の疾患に対しては成人と同一または成人の用法・用量の範囲内で臨床評価

「小児の臨床評価の留意点」が具体的に取り上げた疾患あるいは薬剤は、2型糖尿病、家族性高コレステロール血症、アレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎)、抗菌薬・抗ウイルス薬、造血器悪性腫瘍で、それぞれについて、①病態、②治療実態、③成人と合わせて開発が可能と考えられる理由、④対象となる年齢層、⑤臨床評価方法、⑥市販後の情報収集、⑦その他の留意点――などについてまとめている。

それぞれの疾患については基本的に、成人と一定の年齢層の小児集団を一つの集団として評価することは可能である、としている。ただし、原則として、成人の用法・用量が設定された後で、成人と同一または成人の用法・用量の範囲内において、小児集団に対して臨床評価を行うようにする。

必要に応じて二次性徴の発現・成熟などの思春期段階も考慮する

 まず、小児2型糖尿病については、病態としてインスリン分泌低下とインスリン抵抗性が2型糖尿病の主たる成因であることは成人と同様であり、病態の基礎に本質的な違いはないと考えられる。成人と小児でインスリン分泌不全、インスリン抵抗性の分布に多少の違いがあるとしても、薬剤の有効性評価としては成人同様に血糖コントロールへの効果を確認できればよい。したがって、成人と一定の年齢層の小児集団を一つの集団として評価することは可能。その対象となる年齢層は、病態や発症年齢を考慮すると10歳以上とすることが妥当、としている。

 家族性高コレステロール血症については、成因は関連遺伝子の変異であり、成人と小児の病態は連続していて、高LDL-コレステロール血症を伴うのも同様である。また、LDL受容体とその関連遺伝子の変異による脂質代謝異常が本態であることは成人と小児で同じであり、病態の基礎に本質的な違いはない、と考えられる。対象となる年齢層は「小児家族性高コレステロール血症ガイド2017」(日本小児科学会・日本動脈硬化学会)を踏まえて、10歳以上の小児とすることが妥当と考えられる。ただし、例えば思春期未発来者を除外するなど、必要に応じて二次性徴の発現・成熟などの思春期段階も考慮することが望ましい。

思春期集団では治療に対する遵守性が低下する例も

アレルギー疾患のうち気管支喘息については、小児と成人において病型(アトピー型、非アトピー型)の分布割合が異なるが、成因は同様に気道の慢性炎症によるものである。基本的な治療戦略も小児と成人は同じである。実際に対象とする年齢については、小児の幅広い年齢層での用法・用量の開発が求められること、国際共同で開発が進められる可能性があることなどから、原則12歳以上とすることが妥当と考えられる。また、留意点として、思春期(12歳以上の小児)集団では治療に対する遵守性が低下する例が認められ、臨床試験の対象患者としての適切性、有効性評価に影響する可能性がある。

アレルギー性鼻炎については、鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で、成因は成人と小児で同様と考えられる。小児期発症の場合、自然治癒は比較的低率で遅いとされていて、成人期まで治療が必要となる。また、小児の薬物治療は成人に準ずるとされていることなどから、対象となる年齢層については、国際共同開発が進められる可能性も踏まえて、原則として12歳以上とすることが妥当と考えられる。開発にあたっての留意点として、ステロイド内服薬については副作用などの影響を考慮し、その妥当性を慎重に検討することが必要である。

 抗菌薬の臨床評価については、抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン(平成29年10月23日付け薬生薬審発1023第3号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)の中で、小児に関連するICHガイドライン(前出)を参照すること、としている。化学療法は病原微生物の感染機構・増殖機構を阻害するもので、感染症の成因・作用機構は成人と小児で同様である。したがって、病原微生物に対する薬剤の効果の観点からは、成人と小児を合わせて開発が可能と考えられる。対象年齢層については、国際共同で開発が進められる可能性も考慮し、原則12歳以上とすることが妥当と考えられる。また、留意点として、抗菌薬、抗ウイルス薬では耐性菌、耐性ウイルスの出現を防止することが重要、としている。

副作用に対する認容性が年齢によって異なることも

「小児の臨床評価の留意点」では、造血器悪性腫瘍について、「小児悪性腫瘍における抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイダンス」(平成27年9月30日付け薬食審査発0930第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)の考え方を踏まえて、成人と合わせて評価可能な小児の臨床評価における留意点を示している。

造血器悪性腫瘍はさまざまな病型があり、成因も不明なものが多いが、変異した造血幹細胞が分化・増殖を繰り返した結果、さまざまな障害を起こすことが疾患の本態であることは成人と小児で共通しているため、薬剤の有効性評価は成人も小児も同様と考えられる。ただし、副作用に対する認容性が年齢によって異なることも報告されており、用法・用量の設定には留意が必要となる。そのことも含めた有効性・安全性について慎重な検討が必要であることから、対象となる年齢層については12歳以上とすることが妥当と考えられる。また、それに関する留意点として、成人において用法・用量が確定していない段階での12歳以上の小児の組み入れについては、個々の開発計画や試験目的を踏まえ、個々の薬剤ごとにその妥当性を説明することが必要である、としている。

なお、令和元年の臨時国会で成立し、主要な条項が同3年4月から施行される「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(改正薬機法)に基づき、小児用の用法用量が設定されていない医薬品の開発を促進するため、用途に係る対象者の数が少ない特定用途医薬品などについて優先審査をする制度を創設するほか、その試験研究を促進するために必要な資金について国が確保に努めることになっており、制度面や開発環境の整備も進む見込みである。