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循環器病対策基本法に基づき、循環器病対策推進協議会が発足
2020年夏を目途に循環器病対策推進基本計画の原案作成へ 2020.02.16健康・医療

2019年12月1日に施行された「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(以下、循環器病対策基本法)に基づき、厚生労働省(厚労省)は2020年1月17日、循環器病対策推進協議会(会長=永井良三・自治医科大学学長)を設置。同日および2月3日、それぞれ第1回、第2回の協議会を開いた。同協議会は医療関係者や学識経験者ほか患者代表など20名で構成。2020年夏を目途に、政府が閣議決定する循環器病対策推進基本計画の原案を作成する。

ポイント

  • 循環器病は、死亡原因では悪性新生物に次いで第2位、医療費では第1位
  • 協議会は医療関係者や患者団体関係者など20名で構成
  • 心不全療養指導士制度が2021年度にスタート予定
  • 健診で(循環器病の)早期発見を可能に。主婦や自営業者で特定健診の受診率が高くない、心電図が義務化されていないという問題点を指摘
  • 失語症、高次脳機能障害の対策が必要との意見も

協議会は患者団体関係者が2割程度を占める

循環器病対策基本法(別表参照)は、循環器病(脳卒中、心臓病、その他の循環器病)が国民の死因や介護の原因の主要なものとなっていることを踏まえて、その対策を推進するために、議員立法として2018年の臨時国会で成立。2019年12月1日に施行された。

その法律の構成は、議員立法としての先行モデルであるがん対策基本法などとよく似ている。例えば、疾病対策の基本計画/基本方針を政府が策定するために、それに関する審議会を設置する。循環器病対策基本法においてその審議会に当たるのが、循環器病対策推進協議会である。また、同協議会は、がん対策推進協議会などと同様に患者代表が2割程度を占めているのが大きな特徴である。

循環器病対策基本法の概要

  1. Ⅰ 基本理念
  2. ・循環器病の予防、発症の疑いがある場合における迅速かつ適切な対応の重要性について、国民の理解と関心を深める。
  3. ・循環器病患者等に対する保健・医療・福祉に係るサービスの提供が、居住地域にかかわらず等しく、継続的・総合的に行われるようにする。
  4. ・循環器病に関する研究の推進を図るとともに、技術の向上の研究等の成果を提供し、その成果を活用して商品等が開発され、提供されるようにする。
  5. Ⅱ 法制上の措置
  6. ・政府は、循環器病対策を実施するため必要な法制上・財政上の措置、その他の措置を講ずる。
  7. Ⅲ 循環器病対策推進基本計画の策定等
  8. ・政府は「循環器病対策推進協議会」を設置、「循環器病対策推進基本計画」を策定し、少なくとも6年ごとに変更を行う。都道府県は「都道府県循環器病対策推進協議会」を設置するよう努め、「都道府県循環器病対策推進計画」を策定、少なくとも6年ごとに変更を行うよう努める。
  9. Ⅳ 基本的施策
  10.  ①循環器病の予防等の推進、②循環器病を発症した疑いがある者の搬送・受入れの実施体制の整備、③医療機関の整備、④循環器病患者等の生活の質の維持向上、⑤保健・医療・福祉に係る関係機関の連携協力体制の整備、⑥保健・医療・は福祉の業務に従事する者の育成、⑦情報の収集提供体制の整備、⑧研究の促進、など。
  1. 出典:第1回循環器病対策推進協議会の資料「循環器病対策の現状等について」を一部改変

循環器病の医療費は6兆円を超えて最多を占める

循環器病対策推進協議会の当面の主要な使命は、2020年夏目途に、政府が閣議決定する循環器病対策推進基本計画の原案を作ることである。そのために、第1回の協議会は加藤厚生労働大臣が出席して挨拶をするなど、同協議会に対する厚労省としての期待の大きさがうかがえた。

第1回協議会では、事務局が、まず、循環器病対策の現状などについて説明した。それによると、2018年の人口動態統計において、心疾患は死亡原因の第2位、脳血管疾患は第4位で、それらを合わせた循環器病は悪性新生物(がん)に次ぐ死亡原因となっている。2017年度における医科診療医療費(30兆8335億円)のうち循環器病(高血圧性疾患、心疾患、脳血管疾患、その他)が19.7%を占め、新生物(構成割合14.2%)を5.5ポイント上回り、最多を占めている。また、厚労省の「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」の動きについては、循環器病対策基本法を踏まえて2019年7月に報告書をまとめ、循環器病の診療情報を収集・活用する仕組みについて基本的施策を提案している。

続いて、関連の学会、職能団体、消防組織などに対してヒアリングを行った。第2回協議会でもヒアリングを行い、第1回協議会と合わせて患者関係団体を含む18団体/組織からの意見聴取を終了した。それらの団体/組織などに対しては共通して、循環器病の現状・課題と今までの取り組み、短期的(数年程度)および中長期的(10年単位)に重点的に取り組むべき循環器病対策とその理由、などを聞くとともに、質疑応答なども行った。

循環器病関連の学会、職能団体などからヒアリング

第1回協議会では、循環器病対策基本法に直接的にかかわる学会として、まず、日本脳卒中学会/日本脳卒中協会がヒアリングの対象となった。同学会/同協会では、短期的に重点的に取り組むべき循環器病対策として、①脳卒中に対する行政による体系的な国民啓発と受動喫煙防止対策、②治療開始までの時間と専門性を考慮した脳卒中患者の救急搬送体制の策定と救命救急士の研修、③t-PA治療の均てん化、高度医療の集約化を目指した医療機関の整備、④維持期リハビリテーションおよび慢性期における患者支援の充実、⑤両立支援が可能な包括的相談窓口の設置、⑥急性期以後の医療ケア連携の充実、それを支える人材の育成、⑦ITを用いた脳卒中登録事業の導入、⑧新規医療や医療技術の開発につながる研究の推進、などを挙げた。また、中長期的に重点的に取り組むべき対策については、上記を深化・発展させたものが中心だが、学校教育を通じた啓発や循環器病予防を目的とした健診の導入なども提案した。

次に、日本循環器学会が、主として心血管疾患を念頭に、短期的に重点的に取り組むべき循環器病対策として、①国民への啓発活動の推進・予防指導マニュアルの作成、②「専門性」と「時間との戦い」の両面を考慮した救急搬送体制の確立、遠隔診断・指示系統体制・受入れ医療機関の決定体制等の整備、心肺蘇生の実施、AED使用の普及啓発、③緊急PCI、大動脈手術が可能な施設の地域分布の適正化、効率的な医療機関の連携体制の整備、④超急性期・急性期・回復期・維持期のリハビリテーション制度の整備、心不全療養指導士制度の創設、⑤すべての循環器病の登録、循環器病情報センターの整備、⑥心不全をはじめとする循環器病の病態解明に資する基礎研究の推進、などを挙げた。また、中長期的に重点的に取り組むべき対策については、上記の延長線上にあるものが中心だが、フレイル予防・克服支援体制の整備、地域包括ケアシステムとの連携、緩和ケア提供体制の確立なども提案した。

ヒアリング終了後の質疑応答では、日本循環器学会を代表する委員が、心不全療養指導士制度について説明した。同制度は、心不全の療養には多職種がかかわり、伴走が大事であるとして、同学会が2021年度からのスタートを目指しているものである。心不全療養指導士としては看護師、保健師、薬剤師、リハビリテーション専門職、臨床工学技士、管理栄養士、公認心理師、社会福祉士などが想定されている。

また、全体的な議論においては、特定健診のあり方が問題とされた。それについて、循環器病を専門とする委員は、主婦や自営業者の受診率が高くないこと、心電図が義務化されていないことを指摘するとともに、「健診で(循環器病の)早期発見が可能である。かなり救える部分がある」と発言した。

患者団体からは福祉・介護の充実の要望が

第2回協議会でのヒアリングは、循環器病に関連する患者関係団体として、日本失語症協議会、日本脳卒中者友の会、日本心臓ペースメーカー友の会、全国心臓病の子どもを守る会などから意見を聴取した。それらの団体からは、介護保険制度や福祉を充実させる要望が出た。また、脳卒中の後遺症である失語症について、医療機関を退院した後の機能訓練は制度上、障害者総合支援法の障害福祉サービス、介護保険サービスがあるが、実際にはほとんど提供されておらず、専門医制度も存在しないなど、厳しい状況にある、との訴えがあった。

ヒアリングの後の議論では、失語症について、委員から、「循環器病対策基本法ができるとき、特別な条文を作っていただいた。成功事例を集めることが大事である」と、その対策を重視する発言があった。そこでいう「特別な条文」とは、循環器病対策基本法の附則第3条で「政府は、てんかん、失語症等の脳卒中の後遺症を有する者が適切な診断及び治療を受けること並びにその社会参加の機会が確保されることが重要であること等に鑑み(中略)支援体制の整備等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」との規定を指している。

そのほかの注目すべき後遺症として、複数の委員から高次脳機能障害が挙げられた。それについて、「高次脳機能障害と診断がつくと、外来での治療が可能である」、「高次脳機能脳障害の人が困っているのは、車の運転である。社会復帰を考えたとき、車の運転のことは検討していただきたい」と発言があった。

なお、循環器病対策協議会では、次回以降も幅広く意見を聞いていく、としている。