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成育基本法が2019年12月1日施行
必要な成育医療などを切れ目なく提供 2020.01.07健康・医療

2018年12月8日に臨時国会で成立した「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(略称「成育基本法」)が、約1年間の周知期間を置き、2019年12月1日から施行された。国は、成育基本法に基づき、成育過程にある新生児期から学童期・思春期の者、その保護者、妊産婦に対し必要な成育医療などを切れ目なく提供するための施策を総合的に推進していく。

ポイント

  • 対象は新生児期から思春期の者、保護者、妊産婦など幅広い
  • 成長過程全体の保健・医療・教育・福祉などを切れ目なく支援
  • 政府は成育医療等基本方針を策定、閣議決定する

成育基本法は議員立法として成立

成育基本法は、がん対策基本法などと同様に議員立法として成立した。このような医療に関する基本法あるいは理念法は政府(内閣)提出による立法(閣法)となりにくい。その理由の一つは、関係団体・関係者が多く、必ずしも利害が一致せず、法案をまとめるに当たっては臨機応変の対応が必要であるため、といえる。

その結果として、議員立法としての医療に関する基本法の構成は似てくる。例えば、議員立法の先駆けとなったがん対策基本法と成育基本法は、ともに基本理念を掲げたうえで、国・地方公共団体、医療関係者などの責務を規定し、厚労省において新たな審議会を設置。また、政府が基本方針/基本計画を策定・閣議決定するに当たっては、その審議会から意見を聞くようにする。例えば、成育基本法においては、その審議会に相当するのが「成育医療等協議会」(後述)、基本方針が「成育医療等基本方針」(同)である。

「成育医療等」には教育、福祉も含む

成育基本法の目的(第1条関係)は、次代を担う成育過程にある者個人の尊厳が重んぜられ、心身の健やかな成育が確保されることが重要であることから、成育過程にある者、保護者、妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進していくことである。また、同法第2条第1項、第2項で、そこでいう「成育過程、成育医療等」について、それぞれ次のように規定している。

成育過程とは、出生に始まり、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期の各段階を経て大人になるまでの一連の成長の過程をいう。

成育医療等とは、妊娠・出産および育児に関する問題、成育過程の各段階において生ずる心身の健康に関する問題等を包括的に捉えて適切に対応する医療、保健、これらに密接に関連する教育、福祉等に係るサービス等をいう。

そのように、成育医療等として「等」があることにより、関連する分野も保健・医療、教育、福祉というように大変幅広いものとなっている。

成育基本法では医療関係者の責務なども規定

成育基本法は19条からなるが、他の疾病対策の基本法(理念法)と比較して特に短いわけではない。その要点は下表のとおりである。

成育基本法の要点

目的は、次代の社会を担う成育過程にある者の個人としての尊厳が重んぜられ、その心身の健やかな成育が確保されることが重要な課題となっていることなどに鑑み、成育過程にある者、その保護者、妊産婦に対し必要な成育医療などを切れ目なく提供するための施策を総合的に推進すること。
①成育医療などの提供に関する施策は、成育過程にある者の心身の健やかな成育が図られることを保障される権利を尊重して推進されなければならないこと、などの基本理念を定める。
②成育医療等の提供に関する施策に関する国、地方公共団体、保護者、医療関係者などの責務などを規定する。
③政府は、成育医療等の提供に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置などを講じなければならない。
④政府は、毎年1回、成育過程にある者などの状況、成育医療などの提供に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。
⑤政府は、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本方針を定めなければならない。また、厚生労働大臣は、関係行政機関の長と協議するとともに、厚生労働省に設置する「成育医療等協議会」の意見を聴いて基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
⑥国および地方公共団体は、成育過程にある者および妊産婦に対する医療、成育過程にある者などに対する保健、成育過程にある者及び妊産婦の心身の健康等に関する教育・普及啓発などの基本的施策を講ずる。
  1. 出典:平成30年12月6日開催の参議院厚生労働委員会での議員による提案理由および内容の説明(会議録を一部改変)

上記の②における医療関係者の責務(努力義務)は、次のように規定されている。医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師その他の医療関係者は、国・地方公共団体による成育医療等の提供に関する施策に協力し、成育過程にある者の心身の健やかな成育、妊産婦の健康の保持・増進に寄与するよう努める。また、成育医療等を必要とする者の置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な成育医療等を提供するよう努める。

また、⑤における基本方針とは、成育医療等基本方針のことで、閣議決定をする。これは、例えばがん対策推進基本計画あるいは医療計画などと同様に、6年ごとに見直すことになる。

保護者や妊産婦が社会から孤立することを防止

成育基本法に基づく具体的な施策は、政府が策定、閣議決定する成育医療等基本方針において方向を示すことになる。ただし、国および地方公共団体による医療、保健、教育・普及啓発、記録の収集、調査研究などに関する基本的施策は、すでに成育基本法で規定されている。それぞれのポイントは次のとおりである。

  1. ① 成育過程の各段階に応じた良質かつ適切な医療が提供されるよう、医療の提供体制を整備、救急医療を充実させる。
  2. ② 成育過程にある者の保護者や妊産婦が社会から孤立することの防止、不安の緩和、成育過程にある者に対する虐待の予防・早期発見に資するよう、健康診査・健康診断の適切な実施、心身の健康等に関する相談支援の体制整備をする。
  3. ③ 国民が成育過程における心身の健康に関する知識、科学的知見に基づく愛着の形成に関する知識を持つようにするため、成育過程にある者と妊産婦の心身の健康等に関する教育(食育を含む)、広報活動等を通じた普及啓発を行う。
  4. ④ 成育過程にある者に対する予防接種、乳幼児に対する健康診査、学校における健康診断に関する記録の収集・管理、その情報の活用等に関する体制の整備、当該情報に係るデータベースの整備を行う。
  5. ⑤ 妊娠・出産・育児に関する問題、成育過程の各段階において生ずる心身の健康に関する問題の調査・研究を行う。

関連する「母子保健法の一部を改正する法律」が2019年11月29日に成立

成育基本法は、超党派の国会議員(議員連盟)において法案が作られ、議員立法として成立するに当たり、審議はほとんどなかった。当然、法律の内容に関して政府側の答弁なども行われていない。成育基本法に基づく対応について政府・厚生労働省側が国会で答弁するようになったのは、2019年の通常国会が始まってからである。同年3月20日に開催された参議院・厚生労働委員会で、厚生労働大臣が、厚労省の対応について次のような趣旨の説明をしている。

成育基本法で非常に大事なのは、生まれてから大人になるまでの成長過程全体を切れ目なく、関係省庁が一体となって支援することである。そのため、厚生労働大臣が成育医療等基本方針を策定するに当たっては、関係省庁と協議することになっている。関係省庁と連携して、総合的に、効率的・効果的に、次世代を担う健やかな子供たちを育む取り組みを推進していきたい。

また、2019年10月30日に開催された衆議院・厚生労働委員会で、成育基本法の年内施行に向けての厚労省の取り組みについて、厚生労働大臣政務官が次のように説明している。

本法律に基づく施策を省庁横断的に総合的に推進する観点から、2019年9月に成育基本法に関する関係府省庁会議を開催した。関係府省庁とも連携しつつ、施策に向けた準備・検討を進めている。本法律に基づき、関係者や有識者から構成される成育医療等協議会を設置し、成育医療等基本方針を策定して関係する施策を総合的に推進していく。

なお、成育基本法が成立してから約1年が経過する間に、市町村に対して産後ケア事業の実施を努力義務とする「母子保健法の一部を改正する法律」が2019年11月29日に成立、12月6日に公布、同日から2年を超えない範囲内で施行されることになっているなど、関連する法律あるいは体制の整備も進みつつある。