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「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布、順次施行
先駆け審査指定制度などを法制化、制度の安定性を高める 2020.01.06健康・医療

令和元年の通常国会で成立せず、継続審議となっていた「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正薬機法)が臨時国会の終盤で成立し、12月4日に公布、主要な条項は1年以内に施行される。医薬品・医療機器の製造や承認に関することだけでなく、薬局・薬剤師のこれからのあり方を示すなど、幅広い改正になっている。

ポイント

  • 医薬品等の包装にバーコード表示を義務化、医療安全の確保へ
  • 地域連携薬局、専門医療機関連携薬局を認定する制度を創設
  • 薬局の薬剤師によるテレビ電話等による服薬指導が可能に

改正に向けて厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で審議

今回の改正薬機法は、2016年11月25日に改正・施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称「薬機法」、旧・薬事法)での附則における検討規定に基づき、施行5年後の見直しを行ったものである。薬機法のほか、薬剤師法、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法も含めた大幅な改正となっている。

その見直しに当たっては、厚生労働省(厚労省)の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が2017年から2018年にかけて10回以上、部会を開き、特に医薬品・医療機器の安全性の確保、薬局・薬剤師に関する事項について、時間をかけて議論を行った。それを踏まえて、厚労省は2019年の通常国会に改正薬機法案を提出したが継続審査(継続審議)となり、同年秋から年末にかけて開催された臨時国会において成立した。

改正薬機法のポイントは下表のとおりである。

改正薬機法の要点

① 世界に先駆けて開発される医薬品・医療機器等、患者数が少ないこと等の理由により治験が困難な医薬品・医療機器等を患者に速やかに届けるための承認制度を創設する。併せて、製造販売業者に対し、医薬品・医療機器等の包装等へのバーコードの表示を義務化するなど、安全対策を強化する。
② 患者が適切に医薬品を服用できるよう、薬剤師に対し、調剤時に限らず、必要に応じてその後も患者の医薬品の使用状況の把握や服薬指導をすることを義務付ける。患者自身が自分に適した薬局を選択できるよう、機能別薬局の認定制度を導入する。また、一定のルールの下で、テレビ電話等による服薬指導を新たに認める。
③ 製造販売業者等に対し法令遵守体制の整備を求めるほか、虚偽、誇大広告による医薬品・医療機器等の販売に対する課徴金制度、承認を受けない医薬品・医療機器等の輸入に係る確認制度を創設する。
④ 医薬品・医療機器等の安全性の確保等に関する施策の実施状況を評価・監視するために医薬品等行政評価・監視委員会を設置する。また、科学技術の発展等を踏まえ、血液由来のiPS細胞を医薬品試験に活用する場合の採血の制限を緩和する。
  1. 出典:2019年11月19日開催の参議院・厚生労働委員会での厚生労働大臣の趣旨説明(会議録を一部改変)

包装におけるバーコード表示で患者追跡も可能に

わが国では現在、先駆け審査指定制度(最先端の治療薬等を患者に世界で最も早く提供することが目的)、条件付き早期承認制度(患者が非常に少なくて治験の実施が難しい医薬品を一日も早く患者に届けることが目的)が、それぞれ、通知(通達)に基づいて実施されている。改正薬機法では、その両制度に対する取り組みを強化するためにこれらを法制化した。その主要な目的と意義は、制度の安定性を高めるとともに、国内外に対して両制度を明示することである。それにより、各企業が開発に取り組みやすくなることも期待される。

また、今回の改正薬機法において、医薬品や医療機器の包装にバーコードの表示が義務付けられる。政府では、そのバーコードに有効期限、ロット番号などを表示することを想定して、医療安全の確保を図る。それにより、例えば回収が必要になった場合でも、回収すべきロットをすみやかに特定でき、特定の製品が使われた患者を追跡することも可能となる。また、医療現場での製品の取り違え防止効果も期待できる。

がん等の傷病の区分ごとに専門医療機関連携薬局

改正薬機法では、薬局・薬剤師についても大きな制度改正、制度の創設がなされている。

まず、薬局の機能に関して、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局を認定する制度を創設する。

地域連携薬局とは、他の医療提供施設と連携し、地域での薬剤の適正使用の推進、効率的に薬剤を提供できる機能を有するとして、都道府県知事の認定を受けた薬局のこと。その認定を受けることで、「地域連携薬局」と称することができる。

専門医療機関連携薬局とは、他の医療提供施設と連携し、専門的な薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能を有するとして、がん等の傷病の区分ごとに都道府県知事の認定を受けた薬局のこと。その認定を受けることで「専門医療機関連携薬局」と称することができるが、その傷病の区分を明示しなければならない。

その傷病の区分については、まず、がんについて設けられる。外来で経口薬が処方される機会が多く、専門性の高い薬学的管理が必要とされるからである。その他の区分については、今後、厚労省で検討していくことになっている。

また、政府は国会において、専門医療機関連携薬局と専門医療機関の地理的な関係について答弁している。それによると、認定要件を満たして求められる機能を発揮できる薬局であれば、専門医療機関から地理的に離れている薬局でも認定を取得することは可能で、立地とは関係ない。

対面とオンラインによる服薬指導を適切に組み合わせる

薬剤師の業務に関しても、大きな改正がなされている。その一つが、薬局の薬剤師によるテレビ電話等による服薬指導(いわゆる「オンライン服薬指導」)を容認することである。それについて、改正薬機法の条文では、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法等、と表現している。

すでに2018年度診療報酬改定で医師によるオンライン診療が制度化され、2018年3月には厚労省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2019年7月一部改訂)を策定している。それに基づき、初回は対面診療を原則としたうえで、医師がオンライン診療の一環として服薬について指導することは可能である。

一方、現行の薬機法では、薬局の薬剤師による服薬指導については一律に、対面によるものであることを義務づけている(薬機法第9条の3関係)。改正薬機法では、それに関する条項を改正し、薬剤の適正使用を確保することが可能と考えられる場合に限り、オンライン服薬指導も認める。また、その場合も、基本的には対面とオンラインによる服薬指導を適切に組み合わせることになる。その具体的な方法については、今後、中央社会保険医療協議会(中医協)などでも検討されることになる。

調剤時に限らず必要に応じての服薬指導が義務化

薬機法だけでなく薬剤師法も改正し、薬剤師においては、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握、服薬指導をすることが義務となる。それにより、患者に対する薬物療法の安全性・有効性を確保し、重複投薬、残薬、いわゆるポリファーマシーの防止や解消をする。また、それは、医療保険財政の効率化にも寄与するものと期待されている。

厚労省が2015年10月に策定した「患者のための薬局ビジョン」では、これからの方向として、服薬情報の一元的・継続的把握を行う「かかりつけ薬剤師・薬局」を打ち出した。また、2016年度診療報酬改定において、かかりつけ薬剤師指導料が新設されて、診療報酬上、かかりつけ薬剤師が評価されるようになった。

今回の薬機法改正では、事実上、すべての薬局や薬剤師に対して「かかりつけ薬剤師・薬局」であることを義務づけた形になっている。

衆参両院で附帯決議がなされる

改正薬機法は大幅な改正が行われているため、その成立に当たっては、衆議院で14項目、参議院で11項目の附帯決議がなされている。両院でほぼ共通した内容になっている附帯決議の項目は特に重要といえよう。政府に対して適切な措置を講ずるべきである、としている項目は次のとおり。

  1. ① 医療ニーズの高い革新的な医薬品、医療機器等の開発に対して、戦略的な支援を行うよう努めること。
  2. ② 条件付き早期承認制度の対象となる医薬品等の適応疾患は、生命に重大な影響がある疾患、病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患、希少疾病といった重篤なもの、申請時にほかに有効な治療法が確立していないものを中心とすること。
  3. ③ これまで進めてきた医薬分業の成果と課題を踏まえ、患者の多くが医薬分業のメリットを実感できるような取り組みを進めること。

なお、改正薬機法でも附則として、施行後5年を目途として見直しを行うという検討規定が設けられており、上記の附帯決議も踏まえて検討がなされることになる。