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第22回医療経済実態調査の結果まとまる
2018年度の病院・診療所・薬局の経営は総じて横ばい 2019.12.01健康・医療

2020年度診療報酬改定に向けて2019年に実施した第22回医療経済実態調査の結果が2019年11月13日にまとまり、中医協・総会で報告された。それによると、医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の一般病院の集計では、医療法人立の一般病院の損益差額率は2018年度が2.8%で、前年度より0.2ポイント増加。また、医療法人立も含む一般病院全体*では2018年度が▲2.7%で赤字だが、赤字幅が0.3ポイント縮まっている。このように、一般病院については、全体として若干だが経営が改善している。

注:「一般病院全体」とは、医療法人、国公立のほか、公的(日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会)、社会保険関係法人(健康保険組合およびその連合会、共済組合およびその連合会、国民健康保険組合)、個人などを含む全体。

ポイント

  • 一般病院全体では損益差額率▲2.7%で赤字だが、若干の改善
  • 医療法人立の一般病院は損益差額率2.8%で若干の改善、黒字が続く
  • チーム医療による職員の増加で、給与費率は横ばいか増加傾向に

一般病院の1施設あたりの損益状況は0.3ポイント改善

2020年度診療報酬改定において政府が改定率を決めるに当たって基礎的な資料となるのが、中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会が実施する医療経済実態調査(医療機関等調査、以下同)である。第22回医療経済実態調査は、全国の病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局のうち1カ月の調剤報酬明細書の取扱件数が300件以上の薬局について地域別等に層化したうえで、例えば病院は1/3、一般診療所は1/20の抽出率で無作為抽出した施設を対象に、2018年4月から2019年3月末までに終了した事業年(度)(以下、2018年度)、および2017年4月から2018年3月末までに終了した事業年(度)(以下、2017年度または前年度)における損益状況を調査した。有効回答率は、病院が53.3%、一般診療所が53.1%。その集計においては、病院については、医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の病院の集計(集計1)、調査に回答した全ての医療機関等の集計(集計2)というように2種類の集計をしている。この場合、集計1のほうが診療報酬(改定)の影響が反映されやすいので、中医協の支払側・診療側の各委員における分析などでは、主として集計1が用いられている。一方、一般診療所、歯科診療所、保険薬局についての集計は、集計2の形式だけである。

一般病院の1施設あたりの損益状況 (単位:千円、%)

2017年度 2018年度 金額の伸び率
金額 金額
Ⅰ医業収益 3,548,265 3,614,784 1.9%
Ⅱ介護収益 5,900 4,958 ▲16.0%
Ⅲ医業・介護費用 3,660,792 3,716,116 1.5%
Ⅳ損益差額[Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ] ▲106,627(▲3.0%) ▲96,374(▲2.7%) -
施設数 848 -
平均病床数 185 184 -

損益状況は0.3ポイント改善

  1. (注1) 医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の病院の集計である。(特定機能病院等は含まない)
  2. (注2) 合計数値と内訳数値は、四捨五入の関係で合致しない場合がある。

一般病院の損益差額率は▲2.7%だが、前年度(▲3.0%)と比べると0.3ポイント改善している(上記表参照)。それらのうち医療法人立の一般病院の損益状況は下表のとおりである。損益差額率は、前年度より0.2ポイント増加し、損益状況は若干の改善をしている。そのように若干改善した理由として、収益の面では、収益全体の67.9%を占める入院診療での保険診療収益が前年度比で1.6%増加、同25.1%を占める外来診療での保険診療収益が同0.8%増加し、医業収益全体としては同1.3%増となったこと。費用の面では、収益の56.7%に当たる給与費が同2.0%増となったが、同8.1%に当たる医薬品費が同2.6%減となったことなどが、挙げられる。また、そのような変化は、診療報酬本体を引き上げ、薬価を引き下げた2018年度診療報酬改定を反映したものである、とみることができる。

医療法人立の一般病院 1施設あたりの損益状況(単位:千円、%)

2017年度 2018年度 金額の伸び率
金額 金額
Ⅰ医業収益 1,849,486 1,874,413 1.3%
Ⅱ介護収益 5,097 3,719 ▲27.0%
Ⅲ医業・介護費用 1,807,088 1,825,228 1.0%
Ⅳ損益差額[Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ] 47,495(+2.6%) 52,903(+2.8%) -
施設数 443 -
平均病床数 130 129 -

損益状況は0.2ポイント改善

  1. (注1) 医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の病院の集計である。(特定機能病院等は含まない)
  2. (注2) 合計数値と内訳数値は、四捨五入の関係で合致しない場合がある。

公立病院の損益差額率は▲13.2%、赤字幅が若干拡大

政府・厚労省が地域医療構想の一環として公立・公的病院等のダウンサイジングなどを含む再編統合という方向性を打ち出したことで、それらの経営の状況も注目されている。

一般病院としての公立病院(都道府県立、市町村立、地方独立行政法人立病院:152施設、2018年度230床)の2018年度の損益状況は、損益差額率が▲13.2%で、前年度比で0.2ポイント悪化。また、公的病院(日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連など:56施設、2018年度332床)については、損益差額率が▲0.3%だが、前年度比では1.1ポイント改善している。その損益差額率からは、公的病院と公立病院を分けて考えなければならない、という状況である。

病院以外の2018年度の損益状況をみていくと、一般診療所(無床)については、個人立では医業収益が前年度比0.9%増、介護収益が同15.6%増、医業・介護費用が同0.9%増で、損益差額率が32.0%(同変わらず)。一方、医療法人立では、医業収益は前年度比で変わらず、介護収益は同1.7%増、医業・介護費用が同0.1%減、損益差額率が6.3%(同0.1ポイント増)となっている。

そのように個人立と法人立の診療所で損益差額率が大きく異なるのは、個人立の場合は収益(損益差額)を開設者の報酬に充てるほか、建物・設備の改善を行うための内部資金に充てているため、と推測されている。

また、調剤報酬を決めるうえで重要な指標となる保険薬局(個人立59施設、法人立979施設)は、収益が前年度比1.2%減、介護収益が同18.5%増、費用が同0.3%増で、損益差額率は5.5%(同1.4ポイント減)となっている。

それについて同一グループの保険調剤を行っている店舗数別での損益差額率は、1店舗では1.2%、2~5店舗では2.0%、6~19店舗では7.2%、20店舗以上では7.6%となっていて、それはスケールメリットを反映しているもの、とみることができる。しかし、これまで中医協は、スケールメリットが出過ぎないようにする姿勢で診療報酬(調剤報酬)を設定している。

中医協・総会で支払側、診療側が見解を表明

2019年11月27日に開催された中医協・総会で、支払側、診療側の双方が第22回医療経済実態調査の結果を分析し、見解を表明した。

支払側では健康保険組合連合会(健保連)を代表する委員が、見解を述べた。その分析の特徴は、①2011年度から2018年度までの経年比較、②民間企業でいうところの粗利に相当する付加価値額(収益から医薬品費・材料費・委託費を差し引いた額)を定義、③労働分配率(付加価値額に占める給与費の割合)を定義、などである。

健保連では、一般病院全体は前年度と比較して緩やかな上昇傾向にあり、うち医療法人立の一般病院は2011年度以降、安定的に黒字が続いていて、一般診療所は前年度と比較してほぼ横ばいである、と概括。また、国公立病院は、それ以外の一般病院と比較して給与費の割合、減価償却費の割合が高く、高コスト体質であること。公立病院は、労働分配率が90.1%と高い水準にあり、赤字の最大要因になっていること。常勤医療従事者1人当たり付加価値額は、国立と公立が相対的に低いこと、などを挙げた。

診療側では、日本医師会を代表する委員が見解を述べた。一般病院全体(集計1)の損益差額率は▲2.7%で、うち医療法人立の病院では院長の給与を引き下げたものの、チーム医療が進む中で職員数が増加したため、給与費率は横ばいであった。一般診療所も同様に、医療法人立では院長給与を引き下げたが、看護補助職員などの増加により、損益差額率は横ばいとなっている、と概括した。

また、医療法人立の一般病院について、1人当たり給与費は国公立に比べて100万円前後低く、「働き方改革」のために必要とされるタスクシフティングに向けた多職種の採用が難しい。どの開設者の一般病院でも減価償却費と設備関係費の合計の比率が低下していて、設備関係コストが抑制されていることがうかがえる、と考察している。

以上のとおり、2018年度の損益状況は総じて横ばい、医療法人立の一般病院に限れば緩やかな上昇・改善傾向にあり、2020年度診療報酬改定の改定率についても、そのような状況を踏まえて政府が決定することになる。