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厚生労働省が公立・公的病院等の再編統合に向けた分析結果を公表
診療実績が比較的小さい424の公的・公立病院等をリストアップ 2019.10.16健康・医療

厚生労働省(厚労省)は2019年9月26日、第24回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開き、公立・公的医療機関等の再編統合に向けて検討するための資料として、各構想地域における病院の診療実績データの分析結果に基づき、424の病院をリストアップし、報告した。また翌27日、その分析結果について、同省医政局が「地域医療構想の実現に向けて」と題する文書を発表し、補足説明をした。今後、その分析結果を一つの資料として、各都道府県の二次医療圏/構想区域のレベルにおいて、地域医療構想調整会議で、公立・公的医療機関等の再編統合も含めた地域医療の具体的な姿について議論し、2020年9月を目途に一定の結論を出すことになる。

ポイント

  • 都道府県や病院に構想区域の対応方針の見直し、再検証を求める
  • 再検証を求める医療機関をAあるいはBに分けて検討
  • 診療実績(占有率)が対象領域すべて下位1/3の医療機関がAに該当、Bではまず上位・下位1/2で区分
  • Bには二つ(類似の実績、近接)の基準があり、その両方を満たした場合に「Bに該当」とする。診療実績が小さくても、近くに代替できる病院がない場合は該当せず
  • ダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合も視野に
  • 再編統合に関して2020年9月を目途に一定の結論を求める

構想区域で医療機能の再編などが進んでいないことが背景に

政府は、各都道府県が策定した地域医療構想の実現に向けて、2017年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針2017)において、医療機能を見直し具体的対応方針を速やかに策定するよう、2年間程度で集中的な検討を促進する、とした。地域医療構想の目的は、2025年に向けて、地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築し、それにより、限られた医療資源をそれぞれの地域で真に活用し、次の時代に対応した医療を構築することである。本年の骨太方針2019では、急性期病床をはじめ、地域の医療需要に基づいた必要病床と現状との開きが指摘されるなかで、公立・公的医療機関に地域医療構想に沿った医療機能の再編、病床機能の適正化を求めるとともに、民間医療機関も視野に入れたうえで、次のような方針を打ち出した。

地域医療構想の実現に向け、すべての公立・公的医療機関等の診療実績データの分析を行い、その具体的対応方針の内容が、地域の民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、原則として2019年度中に対応方針の見直しを求める。また、重点対象区域を設定し国による助言や集中的な支援を行うとともに、適切な基準を新たに設定する。民間医療機関についても、地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す。

この政策の背景には、構想区域(二次医療圏)によっては地域医療構想で示された方針どおりには医療機能の再編などが進んでいない、という状況がある。そして、そのような構想区域が存在する都道府県や病院に対しては、対応方針の再検証を求める。そのような取り組みが「具体的対応方針の再検証の要請」と呼ばれている。

それを踏まえて、厚労省は、2019年9月26日に開催した第24回「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果を提出した。その分析の対象となった医療機関は、一般病床もしくは療養病床を持っていて、平成29年病床機能報告で「高度急性期」もしくは「急性期」の病床を持っている民間病院も含む医療機関である。その総数は4,549、うち、公立・公的医療機関等は1,455(公立病院711、公的医療機関等病院744)で、その「公的医療機関等病院」(744)には民間の地域医療支援病院(156)も含まれている。

診療実績のデータ分析では二つの基準を設ける

今回、厚労省は公立・公的医療機関等の診療実績データの分析を行い、再検証を求める病院を抽出した。

抽出するに当たり具体的に次の2つ(A、B)の基準を設けた。

  1. A: 対象となるすべての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期・災害・へき地・研修・派遣機能)で「診療実績が特に少ない」。

具体的には、構想区域において、対象となるすべての領域で下位1/3(33.3%パーセンタイル値)となっていること。

 
  1. B: 対象となるすべての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期)で「各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している」(以下、「類似かつ近接」)。

このB(類似かつ近接)における一つの基準である「一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり」(以下、「類似の実績」)については、次のように定義している。まず、診療実績(占有率)が上位50%(累積占有率50%)以内に入っている医療機関を上位グループ、それに入っていない医療機関を下位グループとする。また、各医療機関の占有率の差の大小により、横並び型、集約型、に大別する。

横並び型とは、上位グループの中に下位グループと一定の差がない医療機関がある場合。具体的には、上位グループの中で占有率が最低位の医療機関の実績と下位グループのうち占有率が最高位の医療機関の実績を比較し、1.5倍以内の差の場合である。この場合、下位グループは「類似の実績」となる。また、上位グループに入っていても、前述の1.5倍の差がない医療機関についても「類似の実績」とされる。

集約型とは、上位グループと下位グループとの間で占有率において明らかに差がある場合。具体的には、横並び型(前述)に相当しないもの、つまり1.5倍(前述)を上回る差が認められるものである。この場合も下位グループが「類似の実績」となる(下表『Bにおける「類似の実績」』を参照)。

そのいずれの型においても定義されている「類似の実績」は、単に実績が似ているということではなく、診療実績が相対的に少ないといった意味を持っている。

また、B(類似かつ近接)におけるもう一つの基準である「お互いの所在地が近接している」とは、自動車での移動時間が20分以内の距離、と定義している。これは、救急搬送の平均時間なども考慮し、設定したものである。

つまり、Bの基準で実際に再検証の対象となるのは、診療実績が比較的小さく、かつ車での移動時間が20分以内の近距離にある複数の病院である。この場合、いずれかの病院の一つの機能が廃止されたとしても、そこに距離的・時間的に近接している病院(民間病院など)で対応できる、と想定している。

具体的対応方針の再検証の要請に係る診療実績の分析方法等について

民間の17の地域医療支援病院も基準に該当

厚労省が、AまたはBの基準(前述)に該当し、再検証要請対象医療機関としてリストアップした病院は424あり、うち公立が257、公的医療機関等が167(うち民間の地域医療支援病院17)で、分析の対象となった公立・公的医療機関等病院(1,455)の29%に当たる。そのA、Bに該当する病院の数をまとめたのが下表である。

具体的対応方針の再検証の要請対象となる医療機関数

その基準のAだけに該当する病院(117)やBだけに該当する病院(147)と比べて、AにもBにも該当する病院(160)については、具体的対応方針の再検証を要請される度合いは強い、と見ることができる。

厚労省が「地域医療構想の実現に向けて」と題する文書を発表

厚労省は、リストアップした424病院のある構想区域では遅くとも2020年9月末までに都道府県や地域医療構想調整会議において一定の結論を得るように提案し、第24回「地域医療構想に関するワーキンググループ」で了承された。残された期間は1年である。

そのような厚労省の取り組みに対して、地方自治体や公立・公的病院は強い警戒感を持ち始めた。

それを踏まえて、厚生労働省医政局は同ワーキンググループを開催した翌日、9月27日に、「地域医療構想の実現に向けて」と題する文書を発表した。その中で、今回のリストについて「各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証をお願いするもの」としたうえで、「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません」と説明。「今回の分析だけでは判断しえない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化し議論を尽くして頂き、2025年のあるべき姿に向けて必要な医療機能の見直しを行っていただきたいと考えています。その際、ダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合も視野に議論を進めて頂きたいと考えています」と要望している。

また、厚労省は10月17日から同月末にかけて、地方厚生局のある地域ブロック単位で、地域医療構想に関する自治体等との意見交換会を行うことにした。

なお、骨太方針2019で「民間医療機関についても、2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求める」(前述)としているように、今後は公立・公的病院だけでなく民間病院も含めて地域医療のあり方について議論されることになり、一部の医療機関においては地域医療連携推進法人を創設することなども選択肢となりそうだ。