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厚生労働省が今後のデータヘルス改革の進め方を決定
現行の8つのサービスを2021年度から4グループに再編 2019.10.01健康・医療

厚生労働省(厚労省)は、2017年7月に策定した「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画」(以下「現行のデータヘルス改革」)が2020年度までとなっていることから、2019年9月9日に第6回「データヘルス改革推進本部」(本部長=厚生労働大臣)を開き、2021年度から2025年度までのデータヘルス改革の内容と工程表(以下「今後のデータヘルス改革」)を決定した。現行のデータヘルス改革は8つのサービスからなるが、今度のデータヘルス改革では、それを4つのグループに再編するとともに、新たな取り組みなども加えている。

ポイント

  • 大規模なICTインフラの利活用を目指して、今後のデータヘルス改革を推進
  • 今後のデータヘルス改革を先取りして、現行の工程表の「2019年度」を改訂、取り組みを加速化
  • PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を幅広く活用

データヘルス改革推進本部が今後の進め方を決定

厚生労働省は2017年1月、厚生労働大臣を本部長として、データヘルス改革推進本部を立ち上げ、同年7月、現行のデータヘルス改革の具体的な内容と工程表(2017~2020年度)を策定した。改革の理念は、膨大な健康・医療・介護のデータを徹底活用し、これからの健康・医療・介護分野の情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)の利活用が「供給者目線」から「患者、国民、利用者目線」になるよう、ICTインフラを作り変え、健康・医療・介護施策のパラダイムシフトを実現する、というものである。また、大規模な健康・医療・介護の分野を有機的に連結した、世界初となるICTインフラを2020年度から本格稼働させることが、大きな目標となった。

2019年の通常国会では、オンライン資格確認の導入などデータヘルス改革と直結している「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、主要な条項が2020年4月1日から施行される。このように、状況が新たになった一方で、現行の工程表は2020年度までとなっている。

そこで厚労省は、第6回「データヘルス改革推進本部」を開き、今後のデータヘルス改革の進め方を決定した。

単なる再編ではなく加速する新たな取り組みも

現行のデータヘルス改革は、がんゲノム▽AI▽乳幼児期・学童期の健康情報▽保健医療記録共有▽救急時医療情報共有▽データヘルス分析▽科学的介護データ提供▽PHR・健康スコアリング、という8つのサービスの提供を目指している。それらのサービスについて、今後のデータヘルス改革では、①ゲノム医療・AI活用の推進、②自身のデータを日常生活改善等につなげるPHRの推進、③医療・介護現場の情報利活用の推進、④データベースの効果的な利活用の推進――というように、4つのグループに再編。「2021年度以降に目指す未来」を提示した。(下表)

現行のデータヘルス改革の8つのサービスと今後の再編

今後のデータヘルス改革は、現行のデータヘルス改革の単なる再編ではなく、新たな取り組みも含まれている。新たな取り組みについては、推進を早めるために、現行の工程表の「2019年度」の箇所に追加された。今後のデータヘルス改革がすでに2019年度から始まっている、と見ることができる。

全ゲノム情報を活用できるよう体制整備

がんゲノム医療を推進するための全ゲノム検査は新たな取り組みで、厚労省が重視し、取り組みを加速化しようとしているものの一つである。2019年6月から保険適用になった遺伝子パネル検査は、がんに関連する複数の遺伝子(100~500個)、約200万塩基対を検査するもので、がんゲノム医療において重要な役割を果たす。一方、全ゲノム検査は、すべてのゲノム領域(すべての遺伝子約25,000個とそれ以外の領域)、約30億塩基対を検査する。それにより、未解明な領域が探索できるので、がん以外の難病、希少疾病の診断・治療方法の開発につながる可能性もある。

すでに10万人の全ゲノム検査を実施し、今後は100万人の同検査を目指す英国などを参考に、今後のデータヘルス改革では、質の高い全ゲノム情報と臨床情報を集積し、分析・活用できる体制を整備する。また、その実行計画を2019年度に策定するということを、現行の工程表に追加した。

「マイナポータル」を活用したPHRに

もう一つ重視しているのがPHRである。それについて厳密な定義はないが、今後のデータヘルス改革の資料では「個人の健康診断結果や服薬履歴等の健康・医療等情報を、電子記録として、本人や家族が正確に把握するための仕組み」と説明している。そのPHRに記録する情報としては、①各健診・検診情報(特定健診、がん検診ほか)、②個人の健康情報(身長・体重、血圧、喫煙ほか)、③健康に関連する医療等情報(予防接種歴、薬剤情報ほか)などが想定されている。

それらの情報(PHR)をスマートフォン(スマホ)で見ることができるようにする。その基盤として、政府が運営するオンラインサービスの「マイナポータル」が想定されている。「マイナポータル」は、その名称からも推測できるように、マイナンバー制度の一環として、個々の国民のポータルサイトとなるように開発されたもので、行政機関から個人向けにさまざまな情報が送られる。ただし、「マイナポータル」にアクセスするにはマイナンバーカードが必要であるため、実際に活用する者は非常に少ないのが現状である。

PHRを推進するため、現行の工程表の2019年度の箇所に「自らの健診・検診情報を利活用するための環境整備」、「PHRの推進のための包括的な検討」が追加された。それを踏まえて、厚労省では2019年9月11日、「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」を設置。第1回検討会を開き「PHRの推進に関する基本方針」(仮称)の取りまとめに向けて動き始めた。

また、医療関係者の間で、今後具体的に検討しなければならない課題として、「マイナポータル」に何年分のPHRを保存するのか、あるいは見ることができるようにするのか、ということが挙げられる。例えば、医師法第24条第2項ではカルテ(診療録)の保存期間を5年と規定していることなどから、「マイナポータル」のような公的なPHRであれば5年分の情報を保存・閲覧できるようにすればよい、という意見もある。併せて民間事業者によるPHRを活用することなども検討されることになりそうだ。

「医療情報化支援基金」でシステム整備などを支援

 今後のデータヘルス改革では、「医療・介護現場の情報利活用の推進」も柱の一つとなっている。そのため、加速化する取り組みとして、現行の工程表の2019年度の箇所に「医療機関等でレセプトに基づく薬剤情報や特定健診等情報を確認できる仕組みの構築等」、「電子カルテの標準化を推進」、「電子処方箋の本格運用に向けた検討」などを追加した。

また、PHRについては、患者・国民の個人レベルだけでなく、医療の現場で活用することも想定している。例えば「マイナポータル」で薬剤情報を見ることができるようになれば、PHRが電子版の「お薬手帳」として機能するようになる。それを医師や薬剤師に見てもらうことで、重複投与なども避けることができる。

なお、厚労省では令和2年度予算概算要求において、「データヘルス改革で目指す未来の実現に向けた予算」として589.6億円を要求しているが、その半分(300億円)が「医療情報化支援基金」で、オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備、国の指定する標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテの導入を支援する。