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厚労省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改訂
一定の要件のもと、対面診療と組み合わせない緊急避妊に係る診療を容認 2019.09.01健康・医療

厚生労働省(以下、厚労省)は2019年7月31日、2018年3月に策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、指針)を改訂し、各都道府県知事に通知した。オンライン診療は対面診療と組み合わせるのが原則だが、改訂した新しい指針(以下、改訂指針)では、緊急避妊に係る診療については一定の要件のもと、対面診療を組み合わせなくてもオンライン診療ができるようにした。また、遠隔健康医療相談の定義を医師と医師以外の場合に分け、オンライン診療についても患者が看護師等といるときに行う場合あるいは医師といるときに行う場合に分けて新たに定義するなど、大きな改訂となっている。

ポイント

  • 初診からオンライン診療の場合、緊急避妊薬の処方は1錠のみ
  • 遠隔健康医療相談の定義を「医師」、「医師以外」に分ける
  • オンライン診療に「患者が看護師等といる場合」、「患者が医師といる場合」を追加、定義を明確化

政府は指針を毎年改訂する方針

ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の分野は進歩が速いことから、オンライン診療の推進を図る政府は、指針を毎年改訂することにしている。その最初の改訂を行うため、厚労省は2019年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を設置し、そこでの議論とパブリックコメントを踏まえて同年7月末、改訂指針を策定、併せて「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に関するQ&A」(以下、Q&A)も改訂し、公表した。

改訂指針の構成(目次)は下表のとおりである。

「指針」の構成(目次)

Ⅰ オンライン診療を取り巻く環境
Ⅱ 本指針の関連法令等
Ⅲ 本指針に用いられる用語の定義と本指針の対象
  1. (1)用語の定義
  2. (2)本指針の対象
Ⅳ オンライン診療の実施に当たっての基本理念
Ⅳ 指針の具体的適用
  1. 1.オンライン診療の提供に関する事項
  2. (1)医師-患者関係/患者合意
  3. (2)適用対象
  4. (3)診療計画
  5. (4)本人確認
  6. (5)薬剤処方・管理
  7. (6)診察方法
  8. 2.オンライン診療の提供体制に関する事項
  9. (1)医師の所在
  10. (2)患者の所在
  11. (3)患者が看護師等といる場合のオンライン診療
  12. (4)患者が医師といる場合のオンライン診療
  13. (5)通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)
  14. 3.その他オンライン診療に関連する事項
  15. (1)医師教育/患者教育
  16. (2)質評価/フィードバック
  17. (3)エビデンスの蓄積

今回の改訂の中心となるのは、①遠隔健康医療相談の定義の見直し、②緊急避妊に係る診療、③患者が看護師等といる、あるいは医師といる場合のオンライン診療――などである。以下、それらについて説明する。

指針では情報通信機器を用いた医療行為・健康増進行為は3種類

医師|患者間 診断等の
医学的判
断を含む
指針を適用 オンライン診療
一部を除き
指針を適用
オンライン受診勧奨
(具体的疾患に罹患している旨の
伝達や医薬品の処方等は行わない)
一般的な
情報提供
指針の適用
なし
遠隔健康医療相談
(医師以外が行うことも可能)

遠隔健康医療相談(医師)として産業医の業務を追加

遠隔健康医療相談には、指針は適用されないが、オンライン診療およびオンライン受診勧奨との違いを明らかにし、それぞれの適用範囲を理解するうえでは重要な概念である。その遠隔健康医療相談は医師以外の者が行うことも可能であり、旧指針では、医師以外の者が行う場合を想定した定義となっていた。そのため、医師が遠隔健康医療相談を行う場合とオンライン診療やオンライン受診勧奨などの境界が、明確ではなかった。

そこで、改訂指針では、遠隔健康医療相談を「遠隔健康医療相談(医師)」、「遠隔健康医療相談(医師以外)」に分け、それぞれについて定義した。遠隔健康医療相談(医師以外)の定義は、旧指針での定義を踏襲し、新たに遠隔健康医療相談(医師)が定義された。その内容は次のとおりである。

遠隔医療のうち、医師-相談者間において、情報通信機器を活用して情報のやりとりを行い、患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言を行う行為。相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わないもの。

遠隔健康医療相談(医師)の具体例として、労働安全衛生法に基づき産業医が行う業務(面接指導、保健指導、健康相談等)が、追加された。

また、オンライン診療、オンライン受診勧奨、遠隔健康医療相談(医師)、遠隔健康医療相談(医師以外)は、それぞれ実施可能な行為が異なっているので注意が必要である。例えば、患者個人の心身の状態に応じた医学的助言については、オンライン診療、オンライン受診勧奨、遠隔健康医療相談(医師)では実施可能だが、遠隔健康医療相談(医師以外)においては実施できない。「遠隔健康医療相談で実施可能な範囲」を超えた助言等を行った場合、医師法違反に問われる可能性がある。指針の定義を踏まえて「実施可能な行為」等に関するマニュアルを整備し、その範囲の中で遠隔健康医療相談を実施することが求められる。

オンライン診療・オンライン受診勧奨・遠隔健康医療相談で実施可能な行為 (対応表)

  オンライン
診療
オンライン
受診勧奨
遠隔健康医療相談
(医師)
遠隔健康医療相談
(医師以外)
指針の適用
(一部適用外)
× ×
情報通信機器を通じた
診察行為
× ×
情報通信手段の
リアルタイム・同時性
(視覚・聴覚情報を含む)

(文字・画像等のみでは不可)

(文字・画像等のみでは不可)
(必須ではない) (必須ではない)
初診 ×(例外あり) (想定して
いない)
(想定して
いない)
処方 × (想定して
いない)
(想定して
いない)
受診不要の指示・助言 (想定して
いない)
一般的な症状に対する罹患
可能性のある疾患名の列挙
(想定して
いない)
(想定して
いない)
患者個人の状態に対する罹患
可能性のある疾患名の列挙
× ×
一般用医薬品の使用に
関する助言
患者個人の心身の状態に応じた医学的助言 ×
特定の医療機関の紹介

女性の心理状態から対面診療が困難と判断した場合など

オンライン診療は、初診は対面診療であって、その後も対面診療と組み合わせることが原則だが、旧指針では、その例外として、禁煙外来を認めている。定期的な健康診断等により疾病を見落とすリスクがない場合に限って、対面診療せずに禁煙外来としてのオンライン診療を実施できる。

改訂指針では、緊急避妊薬の処方についても、一定の要件のもと、対面診療と組み合わせなくてよいものとして容認した。その容認のための主要な要件は、次のとおりである。

①地理的要因がある場合、または女性の健康に関する相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態から対面診療が困難であると判断した場合は、産婦人科医または厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことが許容される。

②初診からオンライン診療を行う医師は、緊急避妊薬は1錠のみの院外処方とする。受診した女性は薬局において、薬剤師の面前で内服する。その際、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約3週間後に受診することを確実に担保する。

③オンライン診療を行う医師は、対面診療を医療機関で行うことができないか、再度確認すること。また、オンライン診療による緊急避妊薬の処方を希望した女性が性被害を受けた可能性がある場合は、女性の心理面や社会的状況に配慮し、警察への相談を促すこと(18歳未満であって性被害を受けた可能性があり、児童虐待に当たると思われる場合は、児童相談所に通告すること)。また、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター等を紹介する。

患者が主治医等といる場合のオンライン診療も定義

オンライン診療の形態として、患者が看護師等(保健師、助産師含む)といる場合(以下、D to P with N)、患者が医師(主治医等)といる場合(以下、D to P with D)が想定されるが、旧指針ではそれらの定義について明確でなかった。改訂指針では、D to P with N、D to P with Dについて定義し、同指針の対象とした。

まず、D to P with Nは、患者の同意のもと、オンライン診療時に患者のそばに看護師等がいる状態で、医師が診療の補助行為を看護師等に指示する、というもの。予測された範囲内における治療行為、例えば点滴や注射、また予測されていない新たな症状等に対する検査が、看護師等を介してできるようになる。そのオンライン診療を行う医師は、原則として、訪問診療等を定期的に行っている医師、また、看護師等は、同一医療機関に属している、または訪問看護の指示を受けた者である。

D to P with D については、患者のそばにいる医師は従来から同患者を診ている主治医等(以下、D1)であることを前提としている。D1は、オンラインにより、例えば遠隔地にいる医師(以下、D2)の専門的な知見・技術を生かした診療ができることになる。また、D2は、その患者に対する事前の対面診療は必要としない。この場合のオンライン診療としては、例えば手術の実施、一般の医療機関では診断が困難な疾患の早期診断、などを想定している。なお、診療の責任の主体は、原則としてD1にあるが、情報通信機器の特性を勘案し、問題が生じた場合の責任分担等について、あらかじめ協議しておくようにする。

Q&Aで指針における「初診」について回答

改訂指針と併せて、Q&Aも改訂された。全体が九つのQ&Aで構成されているのは変わらないが、適用対象に関して、「『初診は、原則として直接の対面による診療を行うこと』とあるが、『初診』とはどう定義されますか」という質問が加わっている。これは、あくまでも、指針(オンライン診療)における「初診」の定義だが、次のような趣旨の回答をしている。

初めて診察を行うことをいうが、継続的に診療している場合においても、新たな症状等(すでに診断されている疾患から予測された症状等を除く)に対する診察を行う場合や、疾患が治癒した後、または治療が長期間中断した後に再度、同一疾患について診察する場合も「初診」に含む。

なお、診療報酬制度において「初診料」の算定上の取り扱いが定められているが、指針における「初診」と診療報酬としての「初診料」の算定は必ずしも一致しない。