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厚労省が「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」を取りまとめ
「外来・在宅」「回復期・慢性期」「その他」の三つの療養環境を設定 2019.06.28健康・医療

厚生労働省(以下、厚労省)は2019年6月14日、高齢者医薬品適正使用検討会が取りまとめた「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(以下、各論編)を都道府県などに通知した。これは、厚労省の同検討会が2018年5月に取りまとめた「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(以下、総論編)の各論に当たるもので、①外来、在宅医療、特別養護老人ホーム(特養)等、②回復期・慢性期の入院医療、③その他の療養環境――の三つの療養環境を設定し、より現場に即した実際的な内容になっている。

ポイント

  • 各論編の主な利用対象は医師、歯科医師、薬剤師に限らず看護師や介護スタッフなど幅広い
  • 外来・在宅医療等への移行時には情報を共有し、その後はかかりつけ医と薬剤師が連携して服薬をモニタリングする
  • アドバンス・ケア・プランニングの考え方で意思決定支援

リハビリ職や介護スタッフなどの利用も視野に

総論編、各論編ともに、高齢者における薬物療法の適正化、ポリファーマシーの是正などを大きな目的としている。ポリファーマシーとは、単に服用する薬剤が多いことではなく、服用することにより害をなすもの、例えば薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランスの低下などにつながる状態をいう。また、総論編、各論編の主な利用対象は医師、歯科医師、薬剤師だが、各論編については、看護師、歯科衛生士、リハビリテーション専門職、管理栄養士、介護スタッフなどの利用も視野に入れている。

患者の移動と療養環境という観点から、各論編は次のように、三つの状況を想定している。

①外来、在宅医療、特養等の常勤の医師が配置されていない施設。これは、病院、常勤医が配置されている介護老人保健施設などから、診療所の外来、在宅医療、特養やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへの移行を想定している。

②急性期後の回復期・慢性期の入院医療。これは、急性期病院から回復期・慢性期病院への移行を想定している。

③その他の療養環境(常勤の医師が配置されている老人保健施設等)。これは、病院、診療所、在宅医療から、常勤の医師が配置されている介護保険施設である介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院への移行を想定している。

介護保険施設については、常勤医師の配置の有無によって上記の①または③に分けられる。例えば、常勤の医師が配置されていない特養については、在宅医療と同様であることから①に位置づけられている。また、保険制度の観点から患者の移動をみると、②では医療保険制度内での移動になるが、①と③では医療保険から介護保険への移動、医療保険内の移動など、さまざまなケースが想定される。

かかりつけ医が高齢者総合機能評価によって種々の評価

各論編で第1部として最初に取り上げているのが、「外来、在宅医療、特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」への患者の移動(前述①のケース)である。地域包括ケアという観点からは、最も成果が期待されるものといえる。

この場合、さまざまな形で関係機関や医師、薬剤師などが関わり、薬剤の確認・見直しを行うことになる。その大きな流れと取り組みのポイントは下図のとおりである。

外来・在宅医療等への移行時における留意点

外来・在宅医療等への移行時における留意点

出典:厚生労働省 高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))
図4 外来・在宅医療等への移行時における留意点(一部改変)

外来や在宅医療を担当する地域の診療所は、かかりつけ医として、高齢者総合機能評価(CGA)を用いて、身体機能、認知機能、気分・意欲、家庭環境、社会背景の評価などを行う。また、服薬の状況などについて、家族、介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問看護師、介護スタッフなどから情報を得るようにする。

処方を見直す際には、必要に応じてアドバンス・ケア・プランニング(ACP)などを通じて本人の価値観に基づいた意思決定ができるように支援を行う。本人が認知症あるいは意識障害がある場合など、本人の意思が直接的に確認できなくても家族等を通して本人の意思を推定する。また、薬物有害事象がみられ、ポリファーマシーが確認されれば、処方の減量・中止を検討する。在宅の患者は複数の診療科・医療機関を受診している場合があり、お薬手帳などで薬歴を把握し、処方理由も確認する。

実際に処方変更をした場合、服薬アドヒアランスを確認しつつ、効果と薬物有害事象の評価を行うことが重要となる。これには、かかりつけ医と連携した薬剤師が在宅の患者を訪問してモニタリングする、といった方法が考えられる。特にモニタリングが必要と考えられる患者の状況は、次のようなケースである。

  • NSAIDs を長期に服用している場合
  • 抗コリン作用を有する薬剤等を長期に服用している場合
  • 便秘を患っており、下剤を服用している場合
  • 骨粗鬆症治療薬を服用している場合(顎骨壊死の予防)
  • 催眠鎮静薬・抗不安薬を長期に服用している場合
  • 認知症治療薬を使用している場合、認知症の行動・心理症状(BPSD)で抗精神病薬等を服用している場合
  • 高用量の利尿薬を服用している場合
  • 残薬が多い(服薬アドヒアランスが悪い)場合
  • 処方理由の不明な薬剤を服用している場合
  • 複数の医療機関からの投与期間が重複している場合

また、特養などの施設において減薬するには、看護職や介護職にモニタリングしてもらう必要があるが、そのためには薬物療法などについての定期的な勉強会、積極的な情報提供を行うようにする。

回復期・慢性期移行時には病態の変化に伴って薬物有害事象の発現も

「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」への患者の移動(前述②のケース)の場合、前述の「外来、在宅医療、特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」への移行と大きく異なるのは、入院担当の医師が、例えば栄養サポートチーム、褥瘡対策チームといった病棟横断的な専門医療チームと連携し、患者を診ることである。

回復期・慢性期移行時には、病態の変化に伴い、それまでみられなかった薬物有害事象が発現することがあるので、あらためて処方の見直しを行うようにする。それまで必要だった薬物療法でも、患者の身体機能の低下などでリスクがベネフィットを上回ると考えられる場合は、処方内容の変更を検討する。例えば高血圧治療薬については、ストレス軽減や活動性の低下により血圧が過度に降下したり、転倒リスクや意欲低下、認知機能の低下につながるおそれがあり、患者の状態に合わせた薬剤の選択が必要になる。常に患者の状態を慎重に評価したうえで処方を検討する。

次に、「その他の療養環境(常勤の医師が配置されている老人保健施設等)」へ移動した患者(前述③のケース)については、その介護保険施設の機能・役割から大きく分けて、在宅復帰・在宅療養を支援する場合、長期療養や看取りを主とする場合、の二つが考えられる。

在宅復帰・在宅療養を支援する場合は、入所期間が比較的短いことが想定されるので、服薬内容に関連した薬物有害事象の有無を積極的に確認する。また、退所前にはできるだけ自宅訪問を行い、薬の保管場所、服薬方法、服薬時間帯などを確認したうえで、服薬が確実になる方法を検討する。一方、長期療養や看取りを主とする場合は、認知症や意識障害で本人の意思表明ができない場合でも、ACPの考え方に基づき、家族等と医療・ケアチームが繰り返し話し合うなど、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定に関するプロセスを実践する。

なお、各論編を現場で実際に活用するには、総論編にもきちんと目を通しておくことが望まれる。