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健康保険法等が改正、主要条項は令和2年4月施行
医療保険制度の適正で効率的な運営を図ることが目的 2019.06.18健康・医療

ポイント

  • マイナンバーカードを資格確認に活用
  • 健康保険証は家族単位から個人単位へ
  • 医療情報化支援基金でオンライン化に向けた初期導入経費を補助

令和元年の通常国会で成立した「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法」(以下、改正健康保険法)が同年5月22日に公布された。今回の改正では、健康保険のオンライン資格確認など、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)関係で大きな制度改正が行われるのが特徴である。

保険制度の適正かつ効率的な運営のためICTを活用

改正健康保険法は、健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)、船員保険法、介護保険法、国民年金法、社会保険診療報酬支払基金法などを一括して改正している。

今回の改正の大きな目的は、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図ること。そのためにICTを積極的に応用し、保険者間で被保険者資格の情報を一元的に管理する仕組みを創設する。その実施に向けて、医療情報化支援基金を創設し、医療機関等を支援する。さらに、医療と介護のデータベースを連結し、給付の状況など情報の解析やそれを提供する仕組みも創設する。また、効率的な運営という観点からは、市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する枠組みを構築する。そのほか、被扶養者の要件の適正化、審査支払機関の機能強化なども行う。

それらの改正の概要は下図のとおりで、主要な条項は令和2年4月1日から施行される。

改正健康保険法の概要

1.オンライン資格確認の導入
  • オンライン資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化する。個人単位化する被保険者番号について、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止する。(施行:公布日から2年を超えない範囲)
2.オンライン資格確認、電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設
(施行:令和元年10月1日)
3.医療保険データベースと介護保険データベース等の連結解析等
  • 医療保険レセプト情報等のデータベースと介護保険レセプト情報等のデータベースについて連結解析を可能とする。また、DPCのデータベースも含めて、研究機関等への提供に関する規定を整備し、公益目的での利用を促進する。(施行:令和2年10月1日、一部の規定は令和4年4月1日)
4.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等
  • 75歳以上の高齢者に対する保健事業を市町村が介護保険の地域支援事業等と一体的に実施できるよう、国・広域連合・市町村の役割等を定める。また、市町村等が各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括して把握できるよう、規定を整備する。(施行:令和2年4月1日)
5.被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化
  • 被用者保険の被扶養者等の要件について、例外を設けたうえで、原則として国内に居住していること等を追加する。(施行:令和2年4月1日)
  • 市町村による関係者への報告等を求める権限について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する。(施行:公布日)
6.審査支払機関の機能の強化
  • 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)の本部の調整機能を強化するため、支部長の権限を本部に集約する。(施行:令和3年4月1日)
  • 支払基金、国保連合会に、医療保険情報に係るデータ分析等に関する業務を追加、審査の基本理念を創設し、公正かつ中立な審査を徹底する。(施行:令和2年10月1日)
7.その他
  • 未適用だった事業所が新規に社会保険に加入した場合などに発生しうる、すでに納付された国民健康保険と新規加入した健康保険の保険料の二重払いを解消する仕組みを導入する。(施行:公布日)

出典:厚生労働省‐医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について

オンラインで健康保険の資格確認へ

改正健保法に基づく主要な施策は、健康保険証の代わりに個人番号カード(マイナンバーカード)でも受診できるようにするとともに、健康保険のオンライン資格確認を導入することである。ただし、保険医療機関の窓口のカードリーダーなどで実際に読み取るのは、個人番号そのものではなく、マイナンバーカードに組み込まれているICチップ内の電子証明書である。その情報が社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国保中央会のデータベースに送られて、資格確認がなされる。医療機関の窓口ではマイナンバー(数字)そのものは読み取らないので、マイナンバーと診療情報が紐付くことはない。

マイナンバーカードを所有しない者も当然存在するので、保険証の使用も続けられるが、その被保険者記号・番号に2桁の番号を付加し、世帯単位ではなく、個人単位にする。後期高齢者の保険証/被保険者番号は現在でも個人単位なので、これは変わらない。また、このように個人単位になった保険証の被保険者番号も医療機関の窓口で電子的に読み取るようにして、その情報が支払基金・国保中央会のデータベース(前述)に送られ、資格確認がなされる。このように、医療機関においては健康保険証も事実上、マイナンバーカードと同等の扱いをすることになるため、プライバシー保護の観点から、健康保険事業などの事務以外に被保険者番号を要求することは、制限される。

そのようにオンラインでの資格確認が可能になれば、転職・退職などで加入する保険者が変わった被保険者が、悪意がないとしても従前の保険証を使って受診したような場合の過誤請求、あるいは保険者における不良債権の発生を防ぐことができ、それに伴う事務コストも削減できる。

電子カルテの標準化に取り組み、普及させる

医療分野のICT化を推進するため、電子カルテの標準化にも取り組む。一方で、オンライン資格確認の導入、電子カルテを普及させるには、医療機関側でも大きな費用負担が発生することになる。そこで、令和元年度において医療情報化支援基金を創設し、医療機関等に対して補助を行う。その主な対象事業は次のとおりである。

  1. ①保険医療機関、薬局に対して、オンライン資格確認のシステム整備・改修などのための初期導入経費を補助する。
  2. ②国の指定する標準規格で連携可能な電子カルテなどを導入する医療機関に対して、初期導入経費を補助する。

審査支払機関である支払基金、国保連合会においても、ICT化の推進などによって機能を強化する。それぞれの基本理念の1つとして「情報通信の技術の活用による業務運営の効率化の推進」が規定された。また、診療報酬請求書および特定健康診査などに関する情報、国民の保健医療の向上および福祉の増進に資する情報の収集・整理・分析、その結果の活用の促進、が新たな業務として追加された。

それによって大きく変わるのが支払基金である。令和3年度以降、本部によるガバナンスを強化したうえで、47都道府県の支部は廃止する。その代わりに、各都道府県に審査事務局を設置し、医療機関や関係団体との調整を行う。また、本部の下に、47都道府県に審査委員会を設置する。実務も見直し、令和4年度以降に、全国で10カ所程度、審査事務センターを設置し、順次、職員によるレセプト事務点検業務をそこに集約する。このような体制になることで、審査結果の地域差の解消なども期待されている。

医療保険と介護保険の両データベースを連結

国が保有するレセプト情報・特定健診等情報データベース(通称「ナショナルデータベース」、NDB)、介護保険総合データベース(介護DB)を連結し、医療・介護のビッグデータを、自治体・研究者・民間事業者などの公益性を有する研究に利活用できるようにする。例えば、国や自治体が施策の立案のための調査などに使うことが、想定されている。また、将来的にはDPCデータベースをNDB、介護DBと連結し、利活用できるようにすることも、想定されている。

高齢者の保健事業と介護予防の事業等を市町村が一体的に実施するが、ここでは疾病予防・重症化予防、フレイル対策、生活機能の改善などが中心となる。実際の方法としては、民間機関と連携するとともに、「通いの場」の概念を拡大し、高齢者に参加してもらうことを重視している。そのために、かかりつけ医が「通いの場」への参加を勧奨し、ポイント制度などを導入して高齢者の健康づくりに対するインセンティブを高める。

なお、そのスキームにおいてもNDBと介護DBなどを使ってのデータ解析が生かされることになる。