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厚労省が過労死等防止対策推進協議会を開催
2024年4月からの医師に対する時間外労働規制など報告 2019.06.04健康・医療

厚生労働省(以下、厚労省)は令和元年5月9日、第14回の過労死等防止対策推進協議会(以下、協議会)を開き、政府・府省における過労死等の防止対策の実施状況と今後の取り組みについて報告を受け、各委員が意見を述べた。厚労省では「医師の働き方改革」について報告するなど、政府の取り組みとして「働き方改革」を過労死等防止に生かそうとしているのが、特徴となっている。

ポイント

  • 「過労死等」には自殺、死亡に関連する疾患なども含む
  • 地域医療を確保するために時間外労働の暫定的特例水準を設ける
  • 36協定の上限は年1860時間以下/月100時間未満(例外あり)に

大綱でのメンタルヘルス対策の数値目標と現状などを説明

協議会は、2014年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づく審議会である。その委員の任期は2年であり、第14回協議会で委員が改選され、会長には中窪裕也一橋大学大学院法学研究科教授が選出された。

過労死等防止対策推進法および協議会でいう「過労死等」とは、同法第2条で「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」と定義している。狭義の過労死だけでなく、業務での強い心理的負荷による自殺、死亡に関連する疾患・障害なども含んでいるのが、特徴である。

第14回協議会では、厚労省が、まず、2018年7月に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、大綱)の数値目標と現状などについて説明した。それによると、大綱では2022年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とするとしているが、2017年でのその割合は58.4%で、前年より1.8ポイント増加したにすぎない。また、2022年までにストレスチェック結果を集団分析して活用する事業場の割合を60%以上とするとしているが、2017年でのその割合は51.7%で、14.6ポイント増加している。

研修医などの意向・意欲も配慮した(C)水準も設定

医師の働き方改革についても詳しい説明が行われた。医師に対して「働き方改革関連法」が適用されるのは2024年4月からで、その時間外労働規制は、医師の属性などによって、診療従事勤務医に適用される水準((A)水準)、地域医療確保暫定特例水準((B)水準)、集中的技能向上水準((C)水準)というように、大きく三つに分かれる。(A)水準は、(B)水準と(C)水準を除く、勤務医一般を対象としたもの。(B)水準は、地域医療提供体制を確保する観点からやむを得ず(A)水準の時間外労働の上限時間を超えざるを得ない場合を想定し、医療機関を特定したうえで(後述)、月155時間相当までは「例外」として認められる。(C)水準については、(C-1)、(C-2)という二つの類型がある。(C-1)の対象は初期・後期研修医で、本人が特定の研修プログラムを選択し、それに沿って基礎的な技能や能力を修得する際に適用されるものである。(C-2)の対象は医籍登録後の臨床従事6年目以降の者で、先進的な手術方法など高度技能の育成が公益上必要な診療分野に特定の医療機関で従事する際に適用する。この場合は、まず本人が計画を作成し、医療機関が審査組織に承認を申請するという手続をとることになる。こちらも月155時間相当までは「例外」として認められる。

労働基準法第36条に基づく通称36(さぶろく)協定で締結できる医師の時間外労働の上限時間

  (A)水準 (B)水準 (C-1)水準 (C-2)水準
通常の時間外労働(休日労働を含まない) 月45時間以下/年360時間以下
「臨時的な必要がある場合」(休日労働を含む)(36協定によっても、この上限時間を超えることはできない) 月100時間未満(ただし面接指導等を行った場合には例外あり)
この「例外」とは、原則では「月100時間未満」だが、医師による面接指導等を行って、健康上、問題がない場合は、月間の時間外労働の上限を引き上げることができることを意味する。
年960時間以下 年1,860時間以下
(月155時間相当以下)

出典:厚生労働省-医師の働き方改革に関する検討会 報告書の概要

それぞれに対して追加的健康確保措置を設け、これとセットで時間外労働規制を行う。まず、(A)(B)(C)各水準共通の追加的健康確保措置として、時間外労働が1カ月に100時間以上となる前に医師(医療機関の管理者以外)による面接指導を行い、必要に応じて就業制限などの措置をとる。また、(A)水準では努力義務、(B)水準と(C)水準では義務となる追加的健康確保措置が、①当直明けの連続勤務は(宿日直許可を受けている場合を除き)前日の勤務開始から28時間まで、②当直および当直明けの日を除いて24時間の中で通常の日勤(9時間程度を超える連続勤務)後の次の勤務までに9時間のインターバル(休息)を確保すること、である。

(B)水準として1,500程度の医療機関を想定

地域での医療提供体制を確保するために設けた(B)水準の対象となる医療機関については、都道府県が特定することになる。その考え方、要件などは下表のとおりで、1,500程度の医療機関が想定されている。

地域医療の観点から必須とされる機能を果たすためにやむなく長時間労働(B水準)となる医療機関の機能

◆「救急医療提供体制及び在宅医療提供体制のうち、特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズに対応するために整備しているもの」・「政策的に医療の確保が必要であるとして都道府県医療計画において計画的な確保を図っている5疾病・5事業」双方の観点から、
  1. ⅰ 三次救急医療機関
  2. ⅱ 二次救急医療機関 かつ「年間救急車受入台数1,000台以上又は年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画において5疾病・5事業の確保のために必要な役割を担うと位置付けられた医療機関」
  3. ⅲ 在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
  4. ⅳ 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療の確保のために必要と認める医療機関
     (例)精神科救急に対応する医療機関(特に患者が集中するもの)、小児救急のみを提供する医療機関、へき地において中核的な役割を果たす医療機関
以上について、時間外労働の実態も踏まえると、医療機関の数は合わせて約1,500程度と見込まれる。
◆特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療を提供する医療機関
  1. (例)高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等

出典:厚生労働省‐医師の働き方改革に関する検討会 報告書の概要

(B)水準については、あくまでも暫定的なものであり、実態調査の結果なども踏まえて、2035年度末を目標に終了させる。その年限の根拠は、医師偏在是正の目標年が2036年度となっていることである。また、(B)水準が終了した場合は、その時点での(A)水準に移行・統一されるが、(C)水準については残ることになる。

医師のダブルワークでの労働時間について質疑も

各府省の報告(前述)の後、質疑応答が行われ、医師の働き方に関して、法律家である委員が、複数の職場で働く労働者の労働時間規制を政府・厚労省が放置している、という問題を指摘した。例えば、大学病院に所属する医師が大学医局の指示や奨励を受けて、地域病院で診療行為をしても、収入を地域病院から得ているという理由で、そこでの労働時間は合算しない。また、地域からの要請でがん検診を行っても、その労働時間を合算しない、というケースもある。

それに対して、事務局(労働基準局)側が「医師のダブルワークの話として承知しているが、労災認定は、形式的にではなく、個々の業務・実態をみて判断している」としたうえで、「その問題については検討しており、今後も引き続き検討していきたい」と答弁した。