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糖尿病性腎症重症化予防プログラムを改定
効果的・効率的な実施を目指して 2019.05.16健康・医療

厚生労働省(以下、厚労省)は2019年4月25日、同省と日本医師会、日本糖尿病対策推進会議の3者が2016年4月に策定した糖尿病性腎症重症化予防プログラム(以下、旧プログラム)について、市町村などの実践例を踏まえて改定、公表した。今回改定された糖尿病性腎症重症化予防プログラム(以下、新プログラム)では、全体として、留意点をより具体的かつ明確に記載している。また、都道府県・市町村の庁内や二次医療圏での連携体制づくりを重視し、詳しく記載していることなども特徴となっている。

ポイント

  • 適切な受診勧奨・保健指導へのプログラムに
  • 糖尿病性腎症について具体的な基準を示す
  • 市町村・都道府県の庁内体制を整備、医師会・国保連など関係機関の連携を重視

日本健康会議の取り組みなども踏まえて改定

新たに透析を導入する者が年間1万6,000人を上回る状況が続いているが、その主な原因は糖尿病性腎症である。厚労省、日本医師会、日本糖尿病対策推進会議の3者は2016年3月、「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」を締結、糖尿病性腎症の重症化予防に向けて行政と医療関係者が連携した取り組みが始まった。同年4月には、旧プログラムを策定して、都道府県・市町村および国民健康保険(国保)などの保険者が糖尿病性腎症重症化予防に取り組むのを支援してきた。その目的は、①糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関未受診・受診中断の者に対して、関係機関が適切な受診勧奨・保健指導を行うことで治療に結びつける、②糖尿病性腎症等で通院する患者のうち重症化するリスクの高い者において主治医の判断で保健指導対象者を選定し、腎不全、人工透析への移行を防止する、というもの。これは、地方自治体が具体的な取り組みを検討・決定する際に指針となるものであり、この目的は、新プログラムでも変わらない。

旧プログラムを策定した2016年4月以降の新たな状況として、日本健康会議に関連する動きがある。日本健康会議とは、主要な経済団体、医療団体、保険者が連携し、行政の全面的な支援のもと国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療を目指して実効的な活動を行うための組織である。その活動指針である「健康なまち・職場づくり宣言2020」の宣言2では「かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、広域連合を24団体以上とする。その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図る」としているが、2018年3月末の時点で、1,003市町村、31広域連合が宣言2で示す取り組みをしており、前倒しで目標を達成している。

しかし、その目標を達成した市町村でも、取り組みの質にばらつきがあることから、重症化予防の取り組みの質を高め、被保険者の健康の増進を図り、医療の適正化を追求するために、厚労省など3者が2019年4月25日、旧プログラムを改定した。

「個人情報の取り扱い」の章を新設

新プログラムでは、これまでの市町村などの実例を踏まえて、記載の充実を図っている。また、効果的・効率的な事業を実施するための条件と留意点、都道府県・市町村の庁内や二次医療圏レベルでの連携体制づくりなどについて、具体的かつ詳しく説明しているのも特徴で、旧プログラムの2倍のボリュームとなっている。

その構成/章立ては、①糖尿病性腎症重症化予防プログラム改定の背景、②糖尿病性腎症重症化予防プログラムの基本的考え方、③取組に当たっての関係者の役割、④地域における関係機関との連携、⑤プログラムの条件、⑥取組方策、⑦プログラム対象者選定の考え方、⑧介入方法、⑨プログラムの評価、⑩個人情報の取り扱い――となっていて、旧プログラムとは大きく異なる。

それらのうち「個人情報の取り扱い」(上記⑩)の章は、2017年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行されたことに対応し、新設したものである。この改正個人情報保護法では、病歴や健康診断等の結果などは取り扱いに特に配慮を要する「要配慮個人情報」と位置づけられており、健診データやレセプトデータについては他の個人情報よりも慎重に取り扱う必要がある。

必要に応じてかかりつけ医と専門医が連携する

新プログラムの特徴の一つが、市町村・都道府県の庁内体制の整備など、それぞれの役割を明確に示すとともに、関係機関の連携も重視していることである。

その市町村・都道府県以外の主要な関係者は、広域連合、地域における医師会、糖尿病対策推進会議、国保連合会などで、それぞれが有機的に連携していくことが重要となる。また、必要に応じてかかりつけ医と専門医が連携するほか、糖尿病の特性から眼科と他科の連携、医科歯科連携の仕組みを構築することが望ましい。

効果的・効率的な事業実施のための5条件示す

各地域で糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定する場合に満たすべき五つの条件(下記①~⑤)、それに関する留意点について、次のようにまとめている。

  1. ①対象者の抽出基準が明確であること
    健診結果のみならず、レセプトの請求情報(薬剤や疾患名)も活用する。
  2. ②かかりつけ医と連携した取り組みであること
    事業の実施時だけでなく、事業の企画時、評価時などさまざまな時点で細かく連携する。
  3. ③保健指導を実施する場合には、専門職が取り組みに携わること
    保健師、管理栄養士のみならず、医師、歯科医師、薬剤師などと連携し、取り組む。
  4. ④事業の評価を実施すること
    アウトカム指標(特定健診の結果の値、人工透析新規導入患者数の変化など)を用いて事業評価をする。
  5. ⑤取り組みの実施に当たり、地域の実情に応じて各都道府県の糖尿病対策推進会議等との連携(各都道府県による対応策の議論や取り組み内容の共有など)を図ること

糖尿病対策推進会議等に対しては、情報提供を行うだけでなく、助言を受け、それを事業に反映させる。

プログラム対象者選定に健診データやレセプトを活用

新プログラムでは、自治体の保健事業において取り扱う糖尿病性腎症について「糖尿病であり、腎機能が低下していること」と定義し、具体的には下表のような基準を示している。

自治体の保健事業において取り扱う糖尿病性腎症の定義

自治体の保健事業において取り扱う糖尿病性腎症の定義:糖尿病であり、腎機能が低下していること
◆糖尿病であること:①から③のいずれかを満たすこと
  1. ① 空腹時血糖126mg/dL(随時血糖200mg/dL)以上、またはHbA1c 6.5%以上
  2. ② 現在、糖尿病で医療機関を受診している
  3. ③ 過去に糖尿病薬(経口血糖降下薬・インスリン・GLP-1受容体作動薬)使用歴又は糖尿病にて医療機関の受診歴がある(ただし、直近の健診データ等により糖尿病の診断基準に該当しない対象者を除く)
◆腎機能が低下していること:①から④のいずれかを満たすこと
  1. ① 検査値より腎症4期:eGFR 30mL/分/1.73m2未満
  2. ② 検査値より腎症3期:尿蛋白陽性
  3. ③ レセプトより糖尿病性腎症又は腎機能低下を示す病名が記載されている
  4. ④ 腎症2期以下の場合には、次の情報を参考とされたい
    • ○ eGFR 45mL/分/1.73m2未満
    • ○ eGFR 60mL/分/1.73m2未満のうち、年間5mL/分/1.73m2以上低下
    • ○ 糖尿病網膜症の存在
    • ○ 微量アルプミン尿の確認、あるいは尿蛋白(±)※
    • ○ 高血圧のコントロールが不良(目安:140/90mmHg、後期高齢150/90mmHg以上)
    ※糖尿病に加えて尿蛋白(+)以上であれば第3期と考える。また尿蛋白(±)は微量アルブミン尿の可能性が高いため、医療機関で積極的に尿アルブミンの測定を行うことが推奨される。

実際には、その定義に合致する糖尿病性腎症の者、ハイリスク者をどのように抽出するかが、重要となる。それについては例えば、次のような方法をとる。

国保などの保険者が保有する健診データ、レセプトデータなどを活用し、対象者を抽出する。また、医療機関で糖尿病治療中の患者から、腎機能の低下が判明し、例えば生活習慣の改善が困難であるなど、保健指導が必要と医師が判断した者を抽出する。

併せて、健診受診歴やレセプトデータなどに基づいて、糖尿病治療を中断して健診も受診していない者の抽出に取り組むようにする。

なお、後期高齢者については、疾病の重複が多く、個別の疾患のガイドラインをそのまま適用すると重複受診や薬剤の過剰投与になるおそれもあることから、かかりつけ医と連携のうえ、専門職によるきめ細やかなアウトリーチを主体とした健康支援に取り組むことが適当である、としている。