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臨床研究・治験の推進の方向性で中間とりまとめ
クリニカル・イノベーション・ネットワーク構想を利活用 2019.04.16健康・医療

厚生労働省(以下、厚労省)は3月29日、厚生科学審議会臨床研究部会(以下、臨床研究部会)による「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について(2019年版)中間とりまとめ」(以下、中間とりまとめ)を公表した。中間とりまとめは、①「新薬・新医療機器等の開発」と「診療の最適化のための研究」のバランス、②人材育成の強化と財政的リソースの効率化、③リアルワールドデータの利活用促進、④研究開発が進みにくい領域(小児疾病・難病等)の取組、⑤国民・患者の理解や参画促進――を柱に、今後の対応などを提示している。

ポイント

  • 新薬等の開発と「診療の最適化のための研究」のバランス重視
  • 国立高度専門医療研究センターなどのリアルワールドデータを利活用
  • 研究開発が進みにくい領域(小児疾病・難病等)の臨床試験を支援

臨床研究法施行後の新たな状況を踏まえて検討

厚労省と文部科学省は、これまで、2012年度からスタートした「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(以下、5か年計画2012)に基づいて、治験と臨床研究の活性化に向けた取組を進めてきた。5か年計画2012は従前の計画を引継ぎ、集大成という位置づけで、その計画期間が2016年度に終了した。厚労省の臨床研究部会では、5か年計画2012の総括を行い、達成または進捗した計画も多くあるが、課題も残されていることを確認した。5か年計画2012の終了後、2018年4月からは臨床研究法が施行されるなど、臨床研究をめぐって新たな状況が出てきている。

そこで、臨床研究部会では2018年12月5日に開催した第8回部会から臨床研究・治験活性化に係る今後の方針について検討を始め、2019年3月13日の11回部会で、その中間とりまとめ(案)に合意。厚労省は同年3月29日、中間とりまとめとして公表した。そこでの基本的な考え方の柱となるのは、下表のとおりである。

臨床研究・治験の推進に係る基本的考え方

  1. Ⅰ.「新薬・新医療機器等の開発」と「診療の最適化のための研究」のバランス
  2. Ⅱ.人材育成の強化と財政的リソースの効率化
  3. Ⅲ.リアルワールドデータの利活用促進
  4. Ⅳ.小児疾病・難病等の研究開発が進みにくい領域の取組
  5. Ⅴ.国民・患者の理解や参画促進
  6. Ⅵ.その他 (臨床研究法の施行への対応、など)

国民・患者の理解や参画を促進する

それらの柱のうち、「新薬・新医療機器等の開発」と「診療の最適化のための研究」のバランスに関しては、「診療の最適化のための研究」に対する支援が十分ではないとの指摘がある。これに対しては、まず、例えば診療ガイドラインの改善、医薬品を用いない手術・手技に係る研究といった「診療の最適化のための研究」が現在、どの程度、どのような形で実施されているか把握し、今後の対応を検討する。

人材育成の強化と財政的リソースの効率化に関しては、育成人材の数と質のいずれについてもまだ十分ではない。臨床研究コーディネーター(CRC)や生物統計家も含めた専門職に対する処遇が必ずしも充実していないため人材が定着しない、給与体系が整備されていないといった指摘があり、まず実態を把握することから始める。今後の対応としては、臨床研究中核病院とその支援を受ける医療機関の役割を整理し、臨床研究を支援する手順を明確化するとともに、双方の臨床研究に従事する者の交流を促進する。

リアルワールドデータの利活用促進に関しては、国として2014年度から、国立高度専門医療研究センター(以下、センター)の診療で得られるリアルワールドデータを収集・解析するシステムの整備[クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)構想]に取り組んでいる。今後の対応として、CIN構想の適切な利活用を想定したうえで、各センターの疾患登録システムのデータを充実させるとともに、新薬などの開発にも利用されるような取組を一層推進する。

研究開発が進みにくい領域(小児疾病・難病等)に対する取組として、今後も、小児用医薬品の臨床試験が効率的に実施できる支援体制を構築していく。また、難病等については、CIN構想のもとで、臨床試験におけるコントロール群として活用できる仕組みの整備を進める。

国民・患者の理解や参画促進については、これまで、臨床試験に関するポータルサイトの構築ほか、例えば日本医療研究開発機構(AMED)では医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)として、研究者が患者・市民の知見を参考にする取組を進めている。しかし、国民の臨床研究・治験に関する理解は必ずしも十分ではなく、今後は、患者会など患者側のコミュニティが理解を深めることも重要となる。また、国民が臨床試験を容易に検索でき、参加しやすくなるように体制を整備することも有用である。

「その他」としては、2018年4月に施行された臨床研究法への対応がある。それにより、臨床研究の実施に負担が一部増加しているとの指摘があり、今後は、その実施状況などについて全国調査を行い、運用改善について検討する。また、認定臨床研究審査委員会については判断の質にバラツキがあるとの意見もあり、架空の研究計画書を審査する模擬審査などを実施して審査能力向上に取り組む。

臨床研究中核病院についてはさらに検討

2015年4月から医療法上に位置づけられた臨床研究中核病院は、現在、全国で12病院が承認されている。

中間とりまとめでは、小児疾病・難病などの分野での拠点の整備が遅れていることを指摘。拠点を整備する重要性を踏まえて、臨床研究部会では、①小児疾病・難病などの特定領域における拠点(特定領域型拠点)、②大学病院など領域横断的に臨床研究を推進する拠点(領域横断型拠点)、という二つのタイプに分けて拠点を整備し、わが国全体の臨床研究・治験の実施体制の底上げを図る――という意見も出されている。

臨床研究部会では、今後、その二つのタイプの拠点のことも含めて臨床研究中核病院のあり方を中心に議論し、2019年夏を目途に一定の結論を出すことにしている。