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人生の最終段階の医療について語り合う「人生会議」 2018.12.18健康・医療

厚生労働省は平成30年11月30日、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(以下、ガイドライン)の中心をなす考え方であるACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」に決定するとともに、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日とする、と発表。同省は今後、「人生会議」という愛称を通して、同ガイドラインやACPの概念の普及・啓発に取り組む。

ポイント

  • ACPの愛称を「人生会議」に決定、ACPの知識の普及を目指す。
  • ガイドラインは病院における延命治療への対応を想定した内容だけではなく、在宅医療・介護の現場でも活用する
  • 人生の最終段階における医療およびケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、本人の意思を基本としたうえで医療・ケアチームによって慎重に判断する
  • ガイドラインの内容を踏まえて各施設で「看取りに対する指針」を作成

ガイドライン改訂の背景

厚生労働省が平成30年3月、同省が同19年に作成した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を改訂し、その名称を「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改めた。この改訂の背景には、高齢多死社会の進行に伴い在宅や施設での療養や看取りの需要が増大し、それに対応するために地域包括ケアシステムの構築が進められていること、英米諸国を中心としてACPの概念を踏まえた研究・取り組みが普及してきていること、などがある。

今回の改訂で重視・明確化した点は、次のとおりである。

  1. 心身の状態の変化等に応じて本人の意思は変化することを踏まえて、医療・ケアの方針、どのような生き方を望むかなどについて、日頃から繰り返し話し合うようにする。ACPの取り組みの重要性を強調
  2. ②多職種からなる医療・ケアチームに介護従事者が含まれることを明確化。
  3. ③本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者として、家族等の信頼できる者を前もって定めておくようにする。
  4. ④今後、単身世帯が増えることを踏まえ、上記の「信頼できる者」の対象を、家族から「家族等」(親しい友人等も含む)に拡大。
  5. ⑤話し合った内容をその都度文書にまとめ、本人、家族等と医療・ケアチームで共有。

ガイドラインでは本人の意思の確認ができる場合、できない場合に分けて指針を示す

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

本人の意思が確認できる場合は、医療・ケアチームと本人が十分に話し合い、本人による意思決定を基本として、多職種で構成する医療・ケアチームが方針を決定する。ただし、時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更などに応じて本人の意思は変化することがあるので、医療・ケアチームは、状況に応じて適切な情報の提供と説明を行い、あらためて本人が意思を示すことができるように支援する。

本人の意思の確認ができない場合は、家族等(本人に代わる者)と十分に話し合い、本人にとって最善の方針をとることを基本とする。

家族等がいない場合、および家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合は、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。

また、ガイドラインでは、本人・家族等と医療・ケアチームの話し合い、あるいは同チームにおける話し合いにおいて合意が得られない場合の対応として、複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、医療・ケアチーム以外の者を加えて、方針等についての検討および助言を行うことが必要である、としている。

ガイドラインの内容を踏まえて各施設で「看取りに対する指針」を作成

ガイドラインは平成30年3月の段階で完成していたため、同30年度診療報酬改定において、療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料などの施設基準に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、『看取りに対する指針』を定めていること、という項目を設けた

厚生労働省は、その項目に対する「疑義解釈資料(いわゆるQ&A)」を提示した。その中で、上記の「看取りに対する指針」について具体的にどのようなものを作成すればよいかとの問いに対して、次のように回答している。

(答)
看取り時の医療・ケアの方針をどのように決定するか、患者本人や家族等への説明や手続き等、当該医療機関としての手順を定めたものであり、各医療機関の実情にあわせて作成いただきたい。当該指針を定めるに当たっては、医療従事者から適切な情報提供と説明がなされること、患者本人や家族等の信頼できる者も含めた話し合いが繰り返し行われること、このプロセスに基づく話し合いの内容をその都度文書にまとめておくこと等、各ガイドラインの内容を踏まえた上で作成いただきたい。

ACPとして繰り返し話し合う

ガイドラインの根幹をなす概念であるACPについて、厚生労働省が作成した啓発リーフレットでは、ACPについて「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い共有する取組」と説明している。また、その話し合いの進め方について、次のような例を示している。
①「あなたが大切にしていることは何ですか?」→ ②「あなたが信頼できる人は誰ですか?」→ ③「信頼できる人や医療・ケアチームと話し合いましたか?」→ ④「話し合いの結果を大切な人たちに伝えて共有しましたか?」→ 「心身の状態に応じて意思は変化することがあるため何度でも、繰り返し考え、話し合いましょう」 →最初の ①に戻る。

厚生労働省では、一般国民はもちろんのこと医療・介護従事者においてもACPについての知識が普及していないことを踏まえて、その普及・啓発のために、平成30年8~9月にACPの愛称を募集した。応募のあった1,073件の愛称の中からACP愛称選定委員会によって「人生会議」が選ばれ、同年11月30日に開かれたACP愛称発表会において発表された。それを選定した理由は、意味が明確な単語の組み合わせにより日常会話に浸透していくことが期待でき、家族や信頼できる人たちと輪を囲んで話し合うというイメージが湧く、というものである。「人生会議」という愛称は総合病院(静岡県)に勤務する看護師が応募したもので、まさに医療現場の体験と実感に基づいたものといえる。

ACP愛称発表会では、同看護師が、「人生会議」の意味と意義を説明。ACP愛称選定委員会の委員で在宅医療に積極的に取り組んでいる医師が、ACPについて「いっぱい話をしよう。みんなで写真を撮るのもよい。すぐに結論を出さなくてもよい。迷いながら進んでいくのが大事だと思う」とコメントした。また、厚生労働省は、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日とする、と発表した。

こうした啓発活動もあって、横浜市では「もしも手帳」を作成し、平成31年1月からかかりつけ医を通して配布を予定している。表紙には「この手帳は“もしも”に備えて、元気なうちに、治療やケアについて、いま思っていることを残しておくものです。あなたのご家族や大切な人と一緒に話し合ってみてください」と書かれ、裏表紙には「気持ちは変わります。何度でもかき直してみましょう」と書かれている。

今後、ACP/人生会議を普及させるためのさまざまな取り組みが行われることになりそうだ。