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「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」が発足 2018.11.01健康・医療

厚生労働省は平成30年10月5日、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を発足させた。同省においては現在、医師の働き方改革についての議論が進んでいるが、患者・国民が必要に応じて適切に医療機関を受診することは、病院の外来の混雑を緩和し、医師の負担軽減、さらには働き方改革につながる。また、「仕事と治療の両立」は、患者だけでなく企業や保険者にとって大きな課題であり、患者が上手に医療にかかることで、この課題解決の糸口になる。そのような状況を踏まえて、同懇談会では、医療のかかり方に関する情報やコンテンツの整理、リーフレットの作成、効果的な広報のあり方などについて検討する。

適当な医療機関を選ぶための情報が不足

「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」は、医療関係者、患者団体関係者のほかマスコミ関係者やアーティスト(タレント)など12名で構成。メディアの使い方について専門的知識を持つ者が比較的多いのが特徴の一つとなっている。平成30年10月5日に開催された第1回懇談会では最初に、事務局である厚生労働省
医政局が、医療のかかり方に関する現状について説明した。

それによると、医療機関にかかる必要があるか判断することが困難な患者・国民も多い。健康保険組合連合会が平成29年9月に公表した「医療・医療保険制度に関する国民意識調査報告書」(速報版)では、日頃から決まって診療を受ける医師・医療機関を持たない理由として「あまり病気をしないから」が47.7%で最も多いが、「適当な医療機関をどう探してよいのか分からないから」が13.9%、「適当な医療機関を選ぶための情報が不足しているから」が8.0%であった。

情報不足などもあって患者が適当な医療機関を選べない場合、一部の病院に患者が集中して外来が混雑することになる。厚生労働省の平成26年受療行動調査では、病院の外来患者の半数が30分以上の待ち時間となっている。患者にとっては時間を無駄に費やすという形でコストが生じていることになる。

さらに、時間外や休日・夜間に受診することもあるため、医師の負担が増える。例えば、病院勤務医における時間外労働の主な理由(平成27年6月調査、複数回答)として、「緊急対応」が64.8%、「手術や外来対応等の延長」が57.7%となっている(※1)

また、医師の負担の増大は疲労をもたらし、医療の質に悪影響を及ぼすだけでなく、医療事故につながるおそれもある。

民間団体、企業、保険者、自治体がさまざまな取り組み

そのような状況において民間団体、企業、保険者、自治体が医療のかかり方に関して、どのような取り組みをしているのか、事務局が報告した。

民間団体では、厚生労働省が主導する
子ども医療電話相談事業の「#8000」を周知普及する取り組みが行われている。この事業では、休日・夜間の子どもの症状に困った場合、「#8000」に電話すると医師や看護師が受診についてアドバイスしてくれる。

企業では、従業員が夜間・休日以外でも医療にかかれるようにするため、「私傷病のための休暇」の創設、チームでの業務体制により子の看護休暇を取りやすくする、といった取り組みがある。

保険者では、「時間外/休日・夜間は割増料金になること」、「適正受診は保険料上昇抑制につながること」などを、ホームページやパンフレットを使って訴えている。

自治体では、地域医療を確保するため、自治体、住民、医療機関の責務・役割を条例化し、パンフレットなどを使って住民に医療機関の適正受診を求めている例がある。平成19年度から医療機能情報提供制度が始まっており、すべての都道府県が、地域の医療機関の情報をインターネット上で公開している。また、子ども医療電話相談事業(#8000)は全都道府県が実施しているほか、救急安心センター事業(#7119)を実施している自治体も増えている。総務省消防庁が主導する救急安心センター事業では、救急車を呼ぶべきかどうかなど、受診について医師、看護師などが年中無休で相談に対応してくれる。

医療機能情報提供制度や#8000の認知度が低い

それらの取り組みを踏まえて、事務局では、医療のかかり方に関する課題について、民間団体・企業・保険者・自治体などに対するヒアリングを継続する。また、医療機能情報提供制度や#8000の認知度が低いことが大きな問題点として浮かび上がった。

まず、医療機能情報提供制度での医療機関検索サイトについて、利用したことのある者(20歳以上の国民)においては91.3%が「医療機関選択において役立った」としている。しかし、同サイトを知っている者は11%程度である(※2)

「#8000」の認知度に関して、内閣府が平成26年7月に「母子保健に関する世論調査」を行っているが、それを「知っている」とする割合は、30~39歳では26.1%と比較的高いが、40~49歳では13.6%、20~29歳では8.2%で、50歳以上では6%程度である。また、「#8000」の相談対応者による緊急度判定として、「直ぐに病院にいくようにすすめた」とするのは2割程度である。全体の7割程度は「翌日に受診」「何かあれば受診」「受診する必要はない」といった判定になっている(※3)

宮崎県延岡市では「地域医療を守る条例」制定

第1回懇談会では、ヒアリングの一環として、同懇談会の構成員でもある宮崎県延岡市が、平成21年9月に同市が全国の市町村で初となる「地域医療を守る条例」を制定した経緯について報告した。その制定は、宮崎県立延岡病院で医師の退職が相次いだことが一つのきっかけとなった。

延岡市の「地域医療を守る条例」は、「地域医療を守る」と「健康長寿を目指す」を基本理念とし、行政、医療機関、市民それぞれの責務を規定している。例えば、市民の責務の一つが「かかりつけ医を持つ」である。その条例と関連する取り組みの結果、宮崎県立延岡病院の夜間・休日の救急患者数は、ピークであった平成19年度と比べると、同21年度には半減し、その状態が現在も続いている。

また、第2回懇談会以降もヒアリングを続けることにしている。

なお、同懇談会の議論の内容は平成30年12月頃に一度、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」に報告されることになっている。

  1. ※1 平成27年度厚生労働省委託事業「医療分野の勤務環境改善マネジメントシステムに基づく医療機関の取組に対する支援の充実を図るための調査・研究事業報告書」
  2. ※2 平成29年度厚生労働科学研究「医療情報の適切な評価・提供及び公表等の推進に関する研究」
  3. ※3 平成29年度#8000情報収集分析事業