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地域共生社会推進検討会が中間とりまとめ
包括的な支援体制を全国的に整備するための方策を検討 2019.09.02地域共生社会

厚生労働省(以下、厚労省)の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(以下、地域共生社会推進検討会)は2019年7月16日、第5回検討会を開き、中間とりまとめを行った(以下、中間とりまとめ)。高齢(80歳代)の親が無職独身・引きこもりの子ども(50歳代)と同居し、面倒をみているという問題(8050問題)も視野に入れ、伴走型支援、断らない相談支援など、包括的支援体制の整備促進のための方策を提示している。

ポイント

  • 背景に、共同体機能が低下して社会的に孤立しやすい状況がある
  • 問題が多様化・複雑化するなかで、対人支援に求められるアプローチは伴走型支援
  • 行政・専門家は断らない相談支援の姿勢で対応する

8050問題など社会的孤立を視野に入れて検討

政府は現在、2017年の通常国会で成立し、2018年4月1日から施行した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(以下、地域包括ケアシステム強化法)に基づいて、地域共生社会の実現に向けた取り組みを推進している。具体的には、同法律により社会福祉法を改正し、市町村が地域住民と協働で包括的支援体制作りに務めることなどを規定している。

厚労省は2019年5月、地域包括ケアシステム強化法を踏まえて、地域共生社会推進検討会を設置した。また、同検討会を設置した時代的・社会的背景としては、単に少子高齢化だけでなく、血縁・地縁・社縁といった共同体機能が低下し、8050問題のような形で社会的孤立が発生するなど、問題が多様化・複雑化していることが挙げられる。従来の社会福祉のアプローチではこうした問題に対して包括的な支援ができなくなっている。そこで、厚労省は、これまで「地域共生社会」の実現に向けた地域づくりを図るためのモデル事業(以下、モデル事業)を実施してきた。そこで得られた自治体のニーズなどを踏まえて地域共生社会推進検討会では、今後の社会保障において強化すべき機能について、5回にわたり検討し、中間とりまとめを行った。

中間とりまとめの構成は下記のとおりで、包括的支援体制の整備促進のための方策として、①断らない相談支援、②社会とのつながりや参加の支援(参加支援)、③地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援――の三つを柱とする提案をしている(以下、3本柱)。

中間とりまとめの構成

Ⅰ 検討の経緯
Ⅱ 福祉政策の新たなアプローチ
  1. 1 個人を取り巻く環境の変化と今後強化すべき機能
  2. (1)これまでの福祉政策の枠組みと課題
  3. (2)個人や世帯を取り巻く環境の変化
  4. (3)今後強化が求められる機能
  5. 2 対人支援において今後求められるアプローチ
  6. 3 伴走型支援 を具体化する際の視点
  7. 4 重層的なセーフティネットの構築に向けた公・共・私の役割分担の在り方
Ⅲ 包括的な支援体制の整備促進のための方策
  1. 1 対応の骨格
  2. 断らない相談支援について
  3. (1) 断らない相談支援の機能
  4. (2) 断らない相談支援の具体化のための体制
  5. (3) 断らない相談支援の具体化に向けた検討事項
  6. 参加支援(社会とのつながりや参加の支援)について
  7. 地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援など地域づくりについて
  8. (1) 今後の地域づくりの在り方について
  9. (2) 地域住民同士のケア・支え合う関係性(福祉分野の地域づくり)
  10. (3) 多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進
  11. 5 包括的な支援体制の整備促進の在り方
Ⅳ 今後の検討に向けて

伴走型支援でライフステージに応じた支援を

中間とりまとめでは、伴走型支援を重視しているのが特徴である。福祉の専門職による対人支援は、①具体的な問題解決を目的とするアプローチ、②支援者と支援の対象(本人)が継続的に関わりながら、本人と周囲との関係を広げていくことを目的とするアプローチ(伴走型支援)、の二つに大別できる。福祉政策は、本人の意向や状況に合わせて、その二つのアプローチを組み合わせていく必要がある。福祉の専門職が支援を必要とする人に対し伴走する意識をもつことで、ライフステージの変化に応じた支援ができ、8050問題など課題が複雑化している場合にも有効である、と考えられる。

ただし、個人の人生は多様かつ複雑なものであることから、個人が社会に関わるための経路も多様であることが望ましい。そのため、中間とりまとめでは、専門職による支援のみでは十分でない、としている。

 中間とりまとめでは、①市場・準市場の機能を通じた保障(福祉サービスなど)、②共同体・コミュニティの機能を通じた保障(地域における支え合いなど)、③行政の機能による保障(現金・現物給付、伴走型支援など)を連携させながら、これらを個人を支えるセーフティネットとして充実させる必要がある、と指摘している。

断らない相談支援はチームとして機能できるように

中間とりまとめでは、包括的支援体制の整備促進のための方策の3本柱の中で、断らない相談支援を特に重視している。

それが重視される背景には、いわゆる“縦割り行政”がある。例えば8050問題のように地域での課題が複合化・複雑化しているにもかかわらず、福祉による支援は個別的なアプローチであり、1箇所・1部門で相談しても全面的な解決にはつながりにくい。そこで、中間報告では、断らない相談支援を強く打ち出すとともに、その機能として、①多機関協働の中核を担う機能、②属性にかかわらず、地域の様々な相談を受け止め、自ら対応またはつなぐ機能、③継続的な関わりを可能とする機能――を確保することが必要と考えられる、としている。それらの機能は、②については住民に身近な地域を中心に確保し、①③については市町村圏域等において確保する。

その制度設計においては、相談支援の部分だけでなく、社会とのつながりも視野に入れたものとする。また、それに携わる人材(相談員)の専門性も明らかにする必要があるが、相談員の力量に過度に依存せず、チームとして機能できるようにする。

参加支援は多様な仕事づくりが重要

3本柱の二つ目である参加支援について、中間とりまとめでは、具体的な施策の提案までには至らず、検討会の構成員の意見、考え方を記載している。それには、①断らない相談支援の後、次のアクションにつながるまでの間、本人との関わりを続けながら一時的な生活保障を行う、②多様な仕事づくり、就労支援が重要、③血縁が脆弱化しており、居住支援や就労支援に際して公的な身元保証の仕組みが求められている――などがある。

また、参加支援については、後述の「プラットフォーム」ができれば、大きく進展する可能性もある。

出会い、学びあう「プラットフォーム」の構築を

3本柱の三つ目である、地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援は、政策としては具体化しにくい要素がある。例えば、すでに地域において支え合う関係が存在するような場合、それを十分に把握しないで行政が一律の政策を推し進めようとしたりすると、その自発的な取り組みを壊してしまったり、住民から反発を招く恐れもある。そのため、中間とりまとめでは、地域ごとの状況に合わせて地域の支え合いをきめ細かく支援するべきである、と指摘。併せて、まちづくり・地域産業など他の分野との連携・協働を強化することが必要と考えられる、としている。

 地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援に関しては、二つの提案をしている。まず、福祉の観点からは、①既存の社会資源の把握と活性化、②新たな社会資源の開発、③住民・社会資源・行政間のネットワークの構築、④地域における顔の見える関係性の中での共感や気付きに基づく、人と人、人と社会資源のつなぎ――などの役割がある。それらのうち①②③の役割は行政や専門職が、①の一部と④の役割は地域住民が、それぞれ担うことになる。

もう一つの提案は、地域を構成する多様な主体が出会い、学びあうことのできる「プラットフォーム」を構築することである。この「プラットフォーム」については、まだ概念の段階で、具体的な提案は行われていないが、地域において単一ではなく、多様なものが複数存在することを想定している。

包括的な支援体制の整備促進のため都道府県の役割の具体化を

 中間とりまとめでは、包括的な支援体制の整備促進の在り方について、市町村域を超えて居住地を転々とする支援対象者がいることも踏まえて、市町村における体制づくりの支援や、人材を育成するなど、都道府県の役割の具体化を図っていくべきである、としている。

また、国による財政支援については、地域の多様なニーズに対応できるように、分野・属性横断的に、一体的・柔軟に活用できるようにする。

なお、地域共生社会推進検討会は2019年末を目途に、最終報告をまとめる予定である。