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厚労省が低炭素社会実行計画フォローアップ会議を開催
私立病院、製薬業界などの取り組みをヒアリング 2019.04.01地域共生社会

厚生労働省は2019年3月14日、第2回「低炭素社会実行計画フォローアップ会議」を開催し、所管団体である日本生活協同組合連合会(日本生協連)、日本製薬団体連合会(日薬連)、私立病院団体(日本医師会ほか)に対して、生協、製薬業界、私立病院業界における地球温暖化対策の取り組みについてヒアリングを行った。それに対して同会議の構成員がコメントするとともに、後日、報告書をまとめる。

ポイント

  • 私立病院団体では延床面積当たりでCO2排出量を指標に
  • 2006年度を基準として2030年度までで25%削減が目標
  • 2016年度までの途中経過では目標をクリア

地球温暖化対策計画を踏まえて自主的に実行

低炭素社会実行計画フォローアップ会議の前身は、環境自主行動計画フォローアップ会議で、2008年から毎年1回、開催されてきた。そこでいう「環境自主行動計画」とは、政府が2005年4月に閣議決定した京都議定書目標達成計画に基づき、主要な業界団体が地球温暖化の防止などに取り組むために自主的に策定した行動計画のことである。同行動計画では、CO2排出抑制に係る数値目標を設定したうえで、それを達成するための方策も定めている。また、その進捗状況について、所管の中央省庁の審議会・検討会などが定期的にフォローアップしてきた。

2015年12月にCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で「パリ協定」が採択されたことを踏まえて、政府は2016年5月に地球温暖化対策計画を閣議決定した。その結果、主要な業界団体は、従前の環境自主行動計画を引き継ぐ形で、低炭素社会実行計画を実施するとともに、政府の審議会等から検証・評価を受けることになった。そのための厚生労働省における組織が「低炭素社会実行計画フォローアップ会議」である。

それぞれの業界団体は、各年度のCO2排出量を、基準年度比で何%削減するか、目標を定めている。それぞれの業界におけるCO2排出量は、もちろん推計値となる。例えば工場で電気を使用した場合、それによって直接的にCO2が発生するわけではないが、その電気を作っている電気事業者(電力会社)でのエネルギーの使用においてCO2が発生・排出している、とみることができる。つまり、電気事業者別で年度ごとに設定されている排出係数(CO2排出係数)を用いて、それぞれの業界が使用した電力の量からCO2の排出量を算定する。実際には、電力会社での原子力発電・火力発電・水力発電などの割合が変化することで、CO2排出係数も変化する。急激な変化が起きたのは2011~2012年度で、これは2011年3月11日に発生した東日本大震災と原発事故に起因する。それにより、全国的に原発が停止することとなり、その代替としての火力発電の割合が上昇したことで、CO2排出係数も増大した。その結果、CO2の排出量から判断した場合、業界における節電の努力がほとんど認められない、という事態になったのである。

2030年度まで対前年削減率1.19%を目指す

厚生労働省が2019年3月14日に開催した第2回「低炭素社会実行計画フォローアップ会議」では、まず日本生協連、続いて日薬連の担当者が報告した。日薬連では、2020年度のCO2排出量を基準年度(2005年度)比23%削減することを目標としているが、2017年度は基準年度比で23.9%削減しており、このままで2020年度まで推移すれば目標は達成できることになる。

私立病院団体(日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会、日本医療法人協会)の取り組みについては、日本医師会の担当者が報告した。私立病院団体では、数値目標指標はエネルギー起源のCO2排出原単位(病院延床面積当たりのCO2排出量、単位はCO2換算のkg-CO2/㎡)とし、基準年度を2006年度として、2030年度までの24年間で25.0%削減(対前年削減率1.19%)することを目指す、としている。ここでは病院延床面積当たりのCO2排出量をみているのが特徴である。

それに関する私立病院の取り組みについて、私立病院団体では2年ごとにアンケート形式で実態調査をしている。その調査に基づくと、2016年度のCO2排出原単位(kg-CO2/㎡)の実績は、対前年度年比1.7%増となっているが、基準年度である2006年度と比較すると20.8%減で、10年間の年率平均では2.30%減となり、目標である対前年削減率(1.19%減)をクリアしている。

このように10年間でみれば目標をクリアしているものの、2016年度においてCO2排出原単位が増加に転じている要因について、低炭素社会実行計画フォローアップ会議の構成員から「一過性なのか、構造的な要因か?」との質問が出た。それについて、日本医師会の担当者は、気象の要因もあるが、複合的な要因であると考察するとともに、「今後、継続して検証していきたい」と述べた。ちなみに、気象庁では、2016年夏の天候の特徴として「日本付近は暖かい空気に覆われやすく、全国的に夏の平均気温は高かった」と分析しており、私立病院においてはその天候の影響を大きく受けた可能性がある。

入院・外来の患者数の増加も影響する

今回の私立病院団体の調査で、2016年度においてエネルギー消費原単位(病院延床面積当たりのエネルギー消費量)が増加したのは446病院(73.6%)、減少したのは160病院(26.4%)で、病院の規模にかかわらず、全体的に増加傾向がみられている。その増加に影響を与えた主なものは、気象の変化、入院患者数の増加、外来患者数の増加、石油価格の大幅変動などで、詳細は下表のとおりである。

エネルギー消費原単位が増加した病院における電気・ガス等の使用量の増加に影響を与えた医療業務や環境の変化(N=446、複数回答)、主なもの

病院数 割合
気象の変化 296 66.4%
入院患者数の増加 90 20.2%
外来患者数の増加 79 17.7%
石油価格の大幅変動 79 17.7%
高度な医療機器・検査機器の導入 65 14.6%
情報システム機器の導入 60 13.5%
患者サービスの向上(コンビニ設置等) 56 12.6%
病床数の増加 18 4.0%
救急医療機能の導入 13 2.9%
職員のための福利厚生施設の整備 12 2.7%
4~6人の病室を少人数室・個室に変更 5 1.1%
診療科目の変更 4 0.9%
(以下略)
  1. 注:回答の446件は、2015年度に比べて2016年度のエネルギー原単位が増加した病院

病院は、健康でない状態の者に対して冷暖房も含めて適切な環境を提供する必要があり、エネルギーの削減にも限界がある。私立病院団体の調査(638病院回答)では、エネルギーの削減余地が「おおいにある」(14病院)と「ある」(324病院)を合わせた回答が53.0%、「余りない」(273病院)と「全くない」(5病院)を合わせた回答が43.6%となっている。

なお、削減余地の「ある」が比較的多い削減方法は、「日常的な省エネ活動」(255病院)、「高効率の設備機器導入による省エネ」(206病院)、「設備機器の運用改善による省エネ」(155病院)などで、その方法をハードとソフトに分けると、設備機器などハード的なもののほうが効果的である、と考えられている。