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Torch トーチ  Voice 全国の有識者との対話から

希少疾患のエキスパートに話を聞く
希少疾患のクリニックでの診療
普段通りの生活が送れるようにサポート
中内 昭平 先生
なかうち しょうへい
中内こどもクリニック 院長

希少疾患をクリニックで診ていくことのメリットはどのようなことでしょうか?

患者さんにとって一番の利点は、クリニックでは受診の時間的な融通が利くというところだと思います。大学病院などの専門外来では診療時間は限られていますので、それに合わせて受診するとなると学校を休まなければなりませんが、クリニックであれば学校が終わってからでも受診できます。さらに、例えば血友病の自己注射の導入時などは、説明にも時間がかかりますし、自己注射の練習にも時間をかける必要があります。通常の診療時間ではそこまで時間を割くことができないような場合には、診療時間終了後に時間をとって対応することも可能です。

また、常に同じ医師が診られるということも、非常に大きなメリットだと思います。勤務医時代には、担当の患者さんであっても、タイミングによっては他の医師が診ることもあり、患者さんの経過を把握しきれないこともありましたが、クリニックでは一人一人の患者さんの全てを診ていくことができますので、血友病など長く経過を見ていく必要がある疾患の治療では大きなメリットとなると思います。

希少疾患の患者さんにとって理想的な医療連携体制はどのような形なのでしょうか?

入院などが必要な場合に対応してもらえる基幹病院との連携体制をとっておくことが重要ですし、年に1、2回大学病院などの専門外来で詳細な検査と専門知識を有する医師の診察を受けるように連携することも非常に重要です。今はコロナ渦で開催できていませんが、当院では、近畿大学病院、ベルランド総合病院と連携して血友病の患者会を行っております。キャンプなどを開催し、患者さん同士の意見交換会や勉強会を定期的に行っております。また、基幹病院との縦の連携と同時に、地域のクリニック同士の横の連携も非常に重要です。当院では血友病の小児を診られる近隣の整形外科クリニックやリハビリ施設を探して連携するなどの対応をしています。大きな病院を受診するほどではない症状であれば、そのような横の連携がとれていれば、患者さんの普段通りの生活を送るサポートがより可能となります。

血友病の子供とそのご家族の困りごとにはどのようなものがあるのでしょうか?

多くのご家族が悩まれるのが運動についてです。出来る限りしたいことはさせてあげたいという思いがありながらも出血のリスクが高くなる運動をどの程度させていいものか悩まれるご家族が多いと思います。自己注射を定期的に行なう、出血したときにはすぐに注射を打つように環境を整えていても、なかなか理想通りには行かないのが実情です。患者さんは病気を抱えていることを普段からあまり意識できておりません。だからこそ、小児科医として患者さんがやりたいことをできる環境、制限をゼロにできるようにサポートする必要があると思います。

また、ある程度の年齢になって結婚について考えるようになると、相手にどのように伝えるか、子供に遺伝する可能性があるということについて悩むこともあります。子供のころから診ていて大学生になった患者さんと、そのような悩みについて、診察外で長く話したことをよく覚えていますが、子供の頃から長く密な付き合いをしてきたからこそ相談してくれたのではないかと思います。

希少疾患であっても出来る限り普段通りの生活をさせてあげるためには、クリニックで診療を行なっていくことの意義は高いと考えています。

(2021年9月取材)