日本循環器学会は、「急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)」および「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」から新たな知見をまとめ、フォーカスアップデートとして「2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を作成し、2020年3月、日本循環器学会ホームページ上で公開した。
日本循環器学会は、関連学会と合同で2018年に「急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)」および「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」を作成したが、その後も冠動脈疾患の抗血栓療法に関する数多くの重要なエビデンスが報告され、新たな概念も発表されている。これらは日常臨床に直結し、ガイドラインに反映すべき重要な内容であることから、今回、この領域のみに焦点をあてて「2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を発表することになった。今回のアップデートの特徴は以下のとおりである。1) 2019年4月に欧米誌に掲載された学術研究コンソーシアムによる高出血リスク患者についてのコンセンサスドキュメント(Academic Research Consortium for High Bleeding Risk:ARC-HBR)を治療戦略のガイドとして採用した。2) ARC-HBRを基に、本ガイドライン作成班のコンセンサスとして「日本版HBR評価基準」を作成した。3) 急性冠症候群と安定冠動脈疾患を併記することで、冠動脈疾患全般における抗血栓療法とした。また、実際的ガイドラインとするため、実臨床に即して時系列に沿った項立てとした。4) ガイドラインの必須項目に限定した簡易なフローチャートを作成した。5) 臨床現場において重要な課題である「周術期の抗血栓療法」に関する項目を新たに設けた。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。