日本循環器学会は、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本集中治療医学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本不整脈心電学会と合同で、「ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン」、「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」の3つのガイドラインを統合する形で「急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)」を作成し、2019年3月、日本循環器学会ホームページ上で公開した。
以前は、冠動脈硬化を基盤とした心筋虚血による疾病群は、心筋壊死の有無により心筋梗塞および狭心症と分類されていた。しかし、この診断の方法では迅速な診断・治療方針の決定を必要とする救急現場にそぐわなかった。近年、発症時の病態を念頭に置いたACS(急性冠症候群:冠動脈粥腫の破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈の高度狭窄または閉塞を来して急性心筋虚血を呈する病態)という概念の導入により、臨床現場での初期診断・治療方針の決定が大きく変わることになった。今回の改訂で、これまで独立したガイドラインとして発行されていた「ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン」、「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」を統合し、現状に即した形で、ACSを包括したひとつのガイドラインとして作成された。ACSを包括したガイドラインは欧米でもまだ作成されておらず、本ガイドラインが初となる。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。