日本循環器学会と日本心不全学会は両学会を含む関連11学会および厚生労働省難治性疾患政策研究事業「特発性心筋症に関する調査研究」研究班、日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業「拡張相肥大型心筋症を対象とした多施設登録観察研究」研究班と合同で「慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)」と「急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)」の両ガイドラインを統合する形で「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」を作成し、2018年3月、日本循環器学会および日本心不全学会ホームページ上で公開した。
これまでに心不全の治療指針としてわが国で作成されたガイドラインは「急性心不全」と「慢性心不全」に分かれていたが、この度、欧米同様に両者を合わせて統一したガイドラインとして改訂した。これは、急性期から慢性期までシームレスな治療継続が必要であるため、診療ガイドラインを急性と慢性に分けるのは現実的ではないという認識による。これに伴い、心不全の定義についても左室収縮能による分類によって明確化するとともに、前年に発表した一般向けのわかりやすい定義も新たに掲載された。今回の改訂の大きなポイントのひとつは、心不全とそのリスクの進展ステージを海外の指針に合わせてA(器質的心疾患のないリスクステージ)、B(器質的心疾患のあるリスクステージ)、C(心不全ステージ)、D(治療抵抗性心不全ステージ)の4つのステージに分類したことである。ステージ分類による適切な治療介入を行うことを目的としており、それぞれのステージの進展を予防するための治療目標を記載している。そのほか、診断アルゴリズム、治療アルゴリズム、急性心不全治療における時間経過と病態を踏まえたフローチャート、重症心不全における補助人工心臓治療のアルゴリズムなども新たに作成した。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。