日本循環器学会は、日本冠疾患学会、日本冠動脈外科学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会と合同で、「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン(2011年改訂版)」と「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン(2011年改訂版)」を統合する形で改訂し、「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」として、2019年3月、日本循環器学会ホームページ上で公開した。
前版の策定過程で、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の併記が提案されていたが、2011年改訂時には各論として個別のガイドランで詳述することに留まった。冠動脈疾患の治療は単一の治療法により完結するものではなく、症例にとって最良の治療法を選択、実践する上でハートチームによるアプローチが必須であるという考え方が推奨され、これが世界標準となってきていることから、今回の改訂でPCIとCABGを併記した初めてのガイドラインが実現した。改訂のポイントとしては、次の5点となる。①至適薬物治療と生活習慣の是正を合わせた広義のoptimal medical therapyの概念が確立され、適切に症例を選択すれば冠動脈血行再建術に劣らない効果が期待できることを明記した。②機能的狭窄度評価(虚血の評価)の有用性が確立され、中等度狭窄の評価において解剖学的狭窄度評価は標準ではなくなった。併せて、狭窄度ガイドの治療よりも虚血ガイドの治療を優先することを推奨した。③冠動脈病変の複雑性の評価では冠動脈病変枝数とSYNTAXスコアを採用した。④リスク評価指標に基づく治療方針の決定が普遍的な成績を得るうえで有効であることが実証されていることから、クラスIIbおよびクラスIIIの症例についてのハートチーム・アプローチによる議論を推奨した。⑤血行再建の意義を踏まえたPCI、CABGの適正化が求められていることに言及した。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。