日本呼吸器学会は、日本集中治療医学会、日本呼吸療法医学会と合同で「ARDS診療ガイドライン 2016」を作成し、2016年7月、日本呼吸器学会および日本集中治療医学会ホームページ上で公開した(書籍版は総合医学社より刊行)。本ガイドラインは、日本呼吸療法医学会による「ARDSに対するClinical practice Guideline 第2版」、日本呼吸器学会による「ALI/ARDS診療ガイドライン 第2版」を前身とし、両学会に日本集中治療医学会を加えて3学会合同で作成された、国内のARDS診療ガイドラインの最新版である。なお、日本呼吸器学会によるガイドラインで用いられていたALI(acute lung injury)のカテゴリーは、2012年のBerlin定義導入によりARDSに吸収されたため、今版よりARDS単独の呼称が冠されている。
本ガイドラインの刊行によりADRS診療に関するガイドラインは一本化され、これまで同一疾患に対して2つの診療ガイドラインが存在する状態が解消されたことになる。本ガイドラインは、総論としてのPart 1と13のクリニカルクエスチョン(CQ)に対する系統的レビューと推奨を示したPart 2の二部構成となっている。Part 1は、日本呼吸器学会の作成委員による執筆で、疫学、診断基準、病態生理、病理、診断、治療などARDS診療全体に関わる事柄について解説されている。日本呼吸療法医学会および日本集中治療医学会の作成委員によるPart 2の推奨は、GRADEシステムを用いてエビデンスの系統的レビューを行った上で決定されたものである。。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。