日本緩和医療学会は、「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン」の改訂を行い、2016年6月、「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン 2016年版 第2版」として刊行した(書籍版のみ。金原出版より刊行)。本ガイドラインは、2011年の旧版から5年ぶりに改訂された。
呼吸困難をはじめとするがん患者の呼吸器症状の緩和は緩和医療における重要課題の一つとされている。5年ぶりの改訂となった本ガイドラインでは、最新の文献レビューを行い旧版の推奨部分が全面的に変更されたほか、旧版では概説のみとした悪性胸水、咳嗽、前喘鳴について最新の文献がレビューされている。また、エビデンスレベル表記を4段階へと変更、薬剤に関する項目の全面的な変更なども行われた。さらに、実臨床における有用性に考慮して関連学会および患者会代表者の参画を図ったり、ワーキンググループと関連学会からの推薦を受けた委員で構成されるデルファイ委員による推奨項目の妥当性検証の実施など、作成手法についても工夫がなされた。Ⅱ章の「背景知識」では、’呼吸困難のメカニズム’、’呼吸困難の原因’、’呼吸困難の評価’、’身体所見と検査’、’酸素療法’、’呼吸困難以外の呼吸器症状’、’薬剤’ を取り上げ、Ⅲ章の「推奨」では呼吸困難に対する酸素療法および薬物療法とともに、特定の病態(悪性胸水、咳嗽、死前喘鳴)に対する治療についても記されている。Ⅳ章の「非薬物療法」においては、’看護ケア’、’呼吸リハビリテーション’、‘精神療法’‘、‘リラクセーション’ について記されている。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。