日本呼吸器学会は、「呼吸機能検査ガイドライン」(2004年刊行)を改題改訂し、2021年7月、「呼吸機能検査ハンドブック」として刊行した(書籍版のみ。メディカルレビュー社より刊行)。
呼吸機能検査は、呼吸器疾患の診断、治療、経過、そして術前の評価に必要不可欠であり、呼吸器診療の根幹を成すものである。一方で、呼吸機能検査は理論や解釈が難解で、かつ被験者の努力に依存する側面があるため、十分に普及しているとはいえず、また、検査方法や結果の解釈が施設間あるいは医療者間で必ずしも一致しないという問題があった。このような状況を改善するため、日本呼吸器学会は「呼吸機能検査のいっそうの啓発と普及を図るとともに、その精度管理、測定方法、結果の解釈などについて医療従事者側のレベル向上を通じて、呼吸機能検査を必要とする患者の福祉に貢献する」という理念の下、2004年に「呼吸機能検査ガイドライン」を発行した。その後十数年の歳月を経て、呼吸機能検査の重要性はますます増し、いっそうの普及と手技や評価の標準化が求められるようになり、また、この間にスパイロメトリーの新基準が報告され、努力非依存的な検査方法である「オシロメトリー」の急速な普及等があったことから、改訂の運びとなった。今回の改訂では「呼吸機能検査ハンドブック」と名称をリニューアルし、最新の手引書として作成した。第1章から第7章までは、日常臨床で用いられるほとんどの呼吸機能検査を網羅し、項目は「用語の定義」、「測定原理」、「測定方法の実際」、「基準値と結果の解釈」、および「機器の精度管理とメンテナンス」と実践に即した分かりやすい構成となっている。さらに、第8章は「異常値を呈する疾患の特徴」とし、代表的な呼吸器疾患を「疾患概念」、「診断」、「呼吸機能の特徴」の順に解説している。
(注)本ハンドブックの具体的な内容については、直接ハンドブック本体で確認されることをお勧めいたします。