日本循環器学会は日本TDM学会と共同で「2015年版 循環器薬の薬物血中濃度モニタリングに関するガイドライン」を作成し、2016年2月、日本循環器学会ホームページ上で公開した。わが国においては抗不整脈薬や強心薬ジゴキシンなどの血中濃度測定が保険適用となっているものの日常臨床で十分に活用されていない点、また循環器薬の薬物血中濃度を用いたTDM(therapeutic drug monitoring:治療薬物モニタリング)に関するガイドラインはわが国だけでなく海外においても作成されていない点などを背景に本ガイドラインが作成された。本ガイドラインは薬物血中濃度を用いたTDMにより安全かつ有効な薬物治療が行われることを目的とし、主な対象は循環器薬を用いる医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師としている。
本ガイドラインでは採血時期および時間を含めた実臨床における薬物血中濃度モニタリングの適切な使用法と血中濃度値の解釈についての指針が示され、「概要」「薬物血中濃度モニタリング」「各論」の3部構成となっている。主にわが国で保険適用としてコマーシャルベースで血中濃度モニタリングを行える各循環器薬についてクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、エビデンスは乏しいものの臨床医が薬物血中濃度モニタリングを活用するうえで疑問点となる項目については How to use(HTU)として取り上げている。CQについてはそれぞれの回答とともにエビデンスレベルと推奨グレードを示している。巻末には「各薬の薬物動態一覧」および「各薬の薬物相互作用一覧」が記載されている。
(注)本ガイドラインの具体的な内容については、直接ガイドライン本体で確認されることをお勧めいたします。