IBD ステーション潰瘍性大腸炎・クローン病
IBDの病態機序IBDとは
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は慢性あるいは寛解・再燃性の腸管の炎症性疾患を総称し、一般に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn’s disease:CD)の2疾患を指します1)。原因は解明されていませんが、遺伝的な素因に食餌や感染などの環境因子が関与して腸管免疫や腸管内細菌叢の異常をきたし、発症すると考えられています。両疾患とも主に若年で発症して再燃と寛解を繰り返しながら慢性に持続し、腹痛、下痢、血便などの症状を呈しますが、関節、皮膚、眼など全身に腸管外合併症があらわれることもあります1)。
UCとCDは共通点や類似点が多いことからIBDと総称されるものの、病態は異なり、それぞれ独立した疾患と考えられています1)。UCはびまん性の炎症が大腸粘膜を直腸側から連続性におかして、しばしばびらんや潰瘍を形成し、CDは非連続性に分布する全層性肉芽腫性炎症や瘻孔を特徴とします1)、2)(図)。
図:炎症性腸疾患の炎症部位
小林清典ほか:日本内科学会雑誌, 98(1):37-43, 2009
引用資料
1) 日本消化器病学会編:炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2016, 南江堂, 東京, pp.1-11, 2016
2) 日比紀文監修:チーム医療につなげる! IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
【監修】国立大学法人東京医科歯科大学 消化器内科 特任准教授 長堀 正和 先生