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循環器いろは

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「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.7

家庭血圧を測っている患者さんは少なくない…
ニモカカワラズ

今井 潤先生
一般社団法人 東北血圧管理協会

わが国の家庭血圧計の普及率は世界からみても高く、ほぼ各世帯に1台といわれています。とりわけ高血圧患者さんは、毎日の家庭血圧測定と血圧手帳への記録を続けるよう医師の指導を受けた方が多いと思われますが、実際どのくらいの方が家庭血圧の測定と記録を実践されているのでしょうか。
高血圧外来を欠かさず受診されるような患者さんは、本当によく家庭血圧を測り、記録してくださる方が多いです。そもそも高血圧治療のために通院されている方ですから、血圧管理の意識が高い方がほとんどで、ある意味当然といえます。
しかし、それは高血圧有病者の一部に過ぎません。健診で高血圧を指摘されたものの、そのまま血圧を意識することなく過ごされている方も多いです。とくに若壮年の男性患者さんは家庭血圧を測る習慣に乏しく、60歳代で定年を迎えてからようやく受診、降圧治療を開始というケースがほとんどです。
もともと心血管疾患(CVD)リスクの高い高齢者においては降圧治療により絶対リスクは低下するものの、残余リスクがあり、正常血圧者と同じレベルまでリスクは下がりません。この残余リスクを決定する要因に高血圧歴の長さがあります。若年者においてはおしなべてCVDの絶対リスクは低いものの、高血圧者の相対リスクが同年代の正常血圧者に比べて高く、将来のCVD絶対リスク、すなわち生涯リスクを押し上げる要因となっています。したがってpreventive medicine(予防医学)の観点から、この年代にこそしっかりと降圧治療がおこなわれるべきであり、そのためにはまず家庭血圧測定をとおして自分の血圧を知っていただくことが重要なのです。
健診で高血圧を指摘された高血圧患者さんをどのように受診に導くか、というのはHypertension Paradox解消に向けて解決すべき課題の一つですが、受診に至らない患者さんはそもそもご自身の血圧をあまり意識されていない傾向があるのですね。
つまり、高血圧の発見から観察、治療に繋げるには健診時の随時血圧測定だけでは不十分ということです。家庭血圧を測らせれば、自分が高血圧であることをより自覚します。われわれのおこなった大迫研究では、家庭血圧計を支給してすべての参加者に家庭血圧を測っていただくことで、受診勧奨・介入へと繋げてきました。その結果、大迫地区の男性における脳卒中発症率は1995年から2010年の15年間で約1/3に減少し、また、住民の高齢化にもかかわらず国民健康保険被保険者1人あたりの医療費の増加は近隣地域に比べ抑制されていました。家庭血圧測定を習慣づけることで、自分の血圧を意識し、血圧コントロールが改善したためであると考えられます。
また、未治療例だけではなく、すでに高血圧治療を開始した患者さんにおいても、家庭血圧測定の習慣は服薬アドヒアランスを高めるという良い影響をもたらします。薬物治療できちんと降圧することが自己測定を通して実感できると、以降もきちんと服薬を続けるモチベーションになるためです。
しかし、家庭血圧測定の習慣がない方にどうやって測っていただくかというのは非常に難しい課題です。われわれも市民公開講座やイベントを通して家庭血圧測定の重要性を訴えていますが、例えば義務教育課程において若い世代に家庭血圧測定の知識を持っていただくことなどが、今後の家庭血圧測定の普及を考えると不可欠ではないでしょうか。また、健診や保健指導を受けた方に血圧計を貸与し、家庭血圧測定を体験していただくのも良いと思います。自治体の保健活動の一環に、通信機能を有した家庭血圧計を導入することなども将来大きな力となるでしょう。
まずは患者さんの意識を変えることが、家庭血圧測定の普及においては重要ということでしょうか。
それも大切ですが、まず重要なのは医療者の意識改革でしょう。JSH2014において診察室血圧よりも家庭血圧の方が重視されているにもかかわらず1)、その意識は一般化しているとは言い難い状態です。仮に患者さんが一生懸命家庭血圧を測り、記録していても、それを正しく評価できている医師は決して多くありません。例えばJSH2014では家庭血圧135/85mmHg以上で高血圧とされていますが、この水準の血圧値を高血圧と認識している医師は多くはないでしょう。これはtherapeutic inertia(治療の怠慢)であり、家庭血圧が実臨床において十分に活用されていない状況の背景には、こうした医師の意識の問題があるのです。
現在の保険診療では家庭血圧の評価にインセンティブがないため、なかなか現状を変えることは難しいかもしれません。しかし家庭血圧の評価自体に保険点数をつけることは難しくても、例えば先述のように医療機関が家庭血圧計を貸し出すケースが算定できるようになれば、これまで家庭血圧測定の習慣がなかった方に対する教育に関しては一歩前進です。大迫研究の例を見ていただければ分かるように、家庭血圧測定の費用対効果は非常に高いため2)、ぜひ国を挙げて取り組んでいただきたいところです。
各世帯に1台という家庭血圧計の普及率の高さにもかかわらず、降圧目標達成率が低いというHypertension Paradoxを改善するためには、医療者側は今後どのように意識を変革していくべきでしょうか。
現在ガイドラインで示されている家庭血圧の降圧目標値は135/85mmHg未満ですが()、目標値は決して「この前後で良い」という値ではないことをまず認識する必要があります。私は家庭血圧を基本として30年以上高血圧診療をしていますが、基本的に収縮期血圧(SBP)125mmHgを目標に降圧治療を続けてきました。その結果、これまで脳卒中発症、再発を起こした方は非常に稀になりました。われわれの実施したHOMED—BP研究でも、ほとんどの患者さんがSBP130mmHg程度に管理できており、心血管イベント発症率は1,000人年あたり2人と非常に低値でした3)。家庭血圧の降圧目標達成のためには、このあたりの血圧値を目指す必要があると考えています。
もちろん85歳以上の超高齢者や合併症、脳心血管イベントの既往歴があるような方では急激な降圧は避け、段階的治療が求められますが、それ以外の方は基本的にthe lower、the betterです。これらのリスクのない患者さんでは、例えば夜の血圧がSBP 100mmHg以下まで下がってもほとんど心配はいりません。とくに若年層では先述の生涯リスクの観点から、より軽症のうちに低値を目指して厳格に管理すべきです。
2017年に発表されたACC/AHAの高血圧診療ガイドラインでは、SBP 130~139mmHgまたはDBP 80~89mmHgを「ステージ1高血圧」として、これまで「高血圧前症(prehypertension)」とされた群は明確に高血圧と診断されるようになりました4)。2019年に改訂が予定されるわが国のガイドラインがどのようになるのかがたいへん注目されますが、今後はより「予防」、「早期治療」といった観点から、高血圧を放置せず、早期に治療することの重要性が認められていくものと期待しています。

表.降圧目標

注  目安で示す診察室血圧と家庭血圧の目標値の差は,診察室血圧140/90 mmHg,家庭血圧135/85 mmHg が,高血圧の診断基準であることから,この二者の差をあてはめたものである.
(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会,20141)より)

  • 文献
  • 1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)、日本高血圧学会、東京、2014
  • 2)Fukunaga H et al:J Hypertens 26:685, 2008
  • 3)Asayama K et al:Hypertens Res 35:1102, 2012
  • 4)Whelton PK et al:J Am Coll Cardiol 71:e127, 2018
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