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循環器いろは

循環器いろは

「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.5

「高血圧」を知らない人はいない…
ニモカカワラズ

宗像 正徳先生
東北労災病院 生活習慣病研究センター

わが国の高血圧患者さんの約半数が未受診・未治療といわれています1)。高血圧が心血管イベントの引き金となることは医療者やメディアによる啓発を通して広く知られているかと思いますが、健診で高血圧を指摘された患者さんが、なかなか医療機関受診に至らないのはなぜでしょうか。
「高血圧」という疾患名については確かによく知られていますが、普通の患者さんはその治療やリスクについてはそこまでよく知らないというのが現状ではないでしょうか。高血圧治療の重要性をよく理解されているのは、脳卒中などの高血圧が原因となるイベントを起こした方が身内や周囲にいる一部の患者さんだけで、それ以外の多くの患者さんはこの疾患をそこまで深刻に考えておられない印象です。
確かに、今はどなたも高血圧に関する情報に容易にアクセスできます。しかしネットやメディアの情報は玉石混淆です。そして患者さんは、自分の信じたい情報ばかりを追ってしまいがちで、その傾向はとくに高血圧のように症状のない疾患で顕著です。その結果、「薬は飲まなくてもよい」「血圧は多少高くても大丈夫」「健康食品で治る」などの情報が治療の妨げとなってしまうのです。このように高血圧を軽く見てしまいがちな風潮が、なかなか受診に結びつかない原因の一つだと考えています。
健診から医療機関受診に結びつかない患者さんにはどのような方が多いのでしょうか。例えば患者さんの年代によって、高血圧に対する認識に差はありますか。
印象としては、健診で高血圧が指摘されたときに高齢の方ほどきちんと受診されています。若い方ほど無関心ですね。企業健診を受けておられる方は保健指導や受診勧奨までを健診とセットで考えていただけるのでまだよいですが、自営業などの国民健康保険加入者の場合はなかなか健診後のフォローが十分とは言い難い状況です。
そしてもう一つの問題は、若年患者さんが健診の結果をもって受診された際に、医療者側が「この程度で受診しなくても…」というような反応をしてしまうことです。せっかく受診した患者さんがその後の治療を不要と考え、介入が遅れた結果、高血圧が長年放置されてしまった例を多く診てきました。これは、医師が日頃診ている高齢患者さんと同じ基準で若年患者さんの血圧を考えてしまった結果です。収縮期血圧140mmHg台は高齢患者さんにとってはありふれた数値でも、若年患者さんでは高すぎます。われわれは亘理町研究において、正常高値血圧でもアルブミン尿が増加することを報告しています2)。一方、例えば120mmHg台まで降圧しても、若年者では高齢者のようにふらつきなどの副作用は起こりにくい。つまり、若年患者さんにおいてはとにかくthe lower、the betterであるということです。患者さんの年代による違いをまず医療者側がしっかりと認識し、せっかく受診に至った方の治療意欲を削ぐような対応は避けなければなりません。
健診からの医療機関受診率と高血圧の治療率を上げるには、労働世代をどう治療に導くかがキーポイントとなるのですね。しかし、高齢者と比べると若年の高血圧患者さんの絶対数は少ないのではないでしょうか。
重要なのは数の大小ではありません。若年患者さんにおいては「生涯血圧」という観点から高血圧治療を考える必要があります。すなわち、若年患者さんがこの先の人生でも長く健康に働き続けるためには、いかに血圧を低く保ち、動脈硬化の進展を抑制するかが重要であるという予防医学的な考え方です。以前は60歳だった定年が、現在は65歳、いずれはそれ以上に延びていくことが予想されます。高齢になっても健康を保ちながら長く働き続けるためには、脳・心血管疾患の発症予防が何より大切で、そのためには若いうちから血圧を至適レベルに維持することが求められるのです。われわれが労災病院職員を対象としておこなった調査では、脳・心臓疾患を発症した群の平均血圧は正常高値血圧レベルで、至適血圧であった非発症群よりも高い傾向がありました3)。また過労死の原因である血管破綻性の脳卒中や、動脈硬化を起因とする血管閉塞性疾患のほとんどに、高血圧は重大なリスクとして関連しています。したがって、労働世代の血圧を低く保つことは、その方の健康寿命の延伸やQOLの向上だけでなく、長期的な労働力確保という視点からも重要なのです。
高血圧という疾患の認知度の高さに比べ、健診からの医療機関受診率が低いことはわが国におけるHypertension Paradoxの一部であるといえるのではないでしょうか。この状況を改善するために、今後取り組むべき課題について教えてください。
2008年から開始された特定健診・特定保健指導によって、健診受診率は向上しています。亘理町研究でも、当初2割程度に過ぎなかった健診受診率が特定健診導入後は5割まで上昇しました。つまり、高血圧を見つけ出す機会は確実に増加しています。しかし、特定健診においては血圧が正常高値であってもいわゆる「メタボ」でない方は特定保健指導の対象にはなりません(4)。血圧が高めでも、メタボの有無が指導対象の条件として優先される現状は個人的にはアンバランスに感じます。自治体や国レベルで健診や保健指導の受診率を向上させるだけでなく、その成果を質的に評価する仕組みも必要です。

図.特定健診・特定保健指導における血圧管理
  • *1 心血管病の血圧値以外の危険因子と臓器障害/心血管病
  • *2  危険因子のないⅠ度高血圧患者においては、高血圧であること、生活習慣の修正が必要であること、3ヵ月後家庭血圧135/85mmHg以上の場合には診療機関を受診することを含めて情報提供する
  • *3  情報提供、特定保健指導においては、家庭血圧測定の意義を説明し、次回健診までの期間、家庭血圧測定を推奨する
  • *4  特定保健指導の対象とならない人についても、市町村が実施する健康増進事業において対応することが可能であり、情報提供に加えて個別健康教育などを受けるよう勧める
(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会,20144)より)
また、若年者の血圧管理という観点からは、われわれ医療者の意識向上に加え、若年患者さんへの啓発も今後の重要な課題となります。65歳未満の若年者の心血管事故が月曜に頻発していることはかねてより知られていますが、全国29の労災病院でおこなった「職場高血圧に関する調査研究」では、月曜午前中に収縮期血圧と心拍数の積であるダブル・プロダクトがもっとも上昇することがわかりました5)。家庭血圧の普及・認知度に比べ、職場高血圧はそこまで意識されていないのが現状ですが、労働者の心血管イベント予防とストレス管理の観点から、仕事中の血圧および心拍数の自己測定は有用と思われます。とりわけ近年の「働き方改革」により、残業時間が減る一方で法定労働時間内に仕事が詰め込まれ、労働者にかかるストレス・負荷はむしろ高まっている可能性があります。労働世代が今後も長く健康に働き続けるために、血圧や心拍数の自己モニタリングを推進していくこと、健診はその重要なきっかけであるという意識を広げていくことが求められます。
  • 文献
  • 1)厚生労働省:平成27 年 国民健康・栄養調査報告,2017
  • 2)Konno S et al:J Hypertens 31:798, 2013
  • 3)和田安彦ほか:日本職業災害医学会誌55:140,2007
  • 4)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014),日本高血圧学会,東京,2014
  • 5)Kimura G et al:Hypertens Res 40:671, 2017
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