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循環器いろは

循環器いろは

「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.4

運動の重要性はわかっている…
ニモカカワラズ

杉本 研先生
大阪大学大学院 老年・総合内科学

高血圧患者さんの生活習慣改善のための指導の一つとして、運動指導をおこなわれている先生は多いと思われます。JSH2014でも「できれば毎日30分以上」の「定期的な運動」をおこなうことが目標とされていますが、実際の指導は難しいとのお声がよく聞かれます。患者さんは運動に対してどのような意識を持たれているのでしょうか。
患者さん自身、運動の必要性を認識されている方は少なくはありません。我々がおこなったアンケート結果でも、運動習慣の少なさを自覚されており、改善したいと考えておられる患者さんが4~5割おられました。
しかし、「高血圧の改善」を目的に運動習慣を身につけていただくのは実際のところ難しいです。血圧値は運動により目に見えて変動するものではなく、食事や肥満といったその他の生活習慣の影響を受けますし、何より薬物治療の方が明らかに効果を認識しやすいからです。
一方で、「転倒の予防」については多くの患者さんが関心を持っておられます。とくに高齢の患者さんでは、日常生活における転倒やふらつきから、身体機能に不安を抱かれている方が少なくありません。我々の施設では定期的に転倒予防講座をおこない、転倒予防のための座学と、理学療法士によるレジスタンス運動の指導を患者さんに体験していただいています。このように、運動の必要性を認識しておられる患者さんを実践に導くには、身体機能低下の予防や寝たきりの予防といった観点から導入していくのが効果的です。
高血圧患者さんの運動の実施率は、実際にはどのくらいになるのでしょうか。また運動習慣の有無に、年齢や性別は関係があるのでしょうか。
実際に運動をされている患者さんは多く見積もっても全体の2~3割ではないかと思われます。実施率は高齢の患者さんほど高く、70歳代をピークにして80歳代でまた低下するイメージです。せっかくの運動習慣が、年齢が上がり「もういいのではないか?」と失われてしまうのは大変もったいないことです。
また、運動習慣の有無に男女差はほとんどありません。ただし、運動習慣のない男性では、もともと筋力の低い女性に比べ筋力低下による身体機能の衰えが早い印象があります。身体機能の評価に加え、運動の実施状況や蛋白質の摂取状況などをよく確認しておく必要があるでしょう。
運動の重要性はわかっていても実践が難しい患者さんに運動習慣を身につけていただくには、どのような指導をおこなうべきでしょうか。
最も重要なのは、患者さんの現在の身体機能を正しく評価し、客観的なデータとしてご本人に伝えることです。現在、我々の外来では後期高齢者に対して筋力、筋量、歩行速度などを評価しています。実際の数値としてこれだけ低下している、ということがわかると、「運動しなければ」と考えるきっかけになります。また、同世代の方と比べてご自身の身体機能がどの程度なのか、「年相応」「(同世代の)平均以上」「平均以下」の3段階に分けて評価することで、「自分には必要ない」とか「まだ大丈夫」と考えておられる方に対する動機づけになります。そして、3ヵ月後、1年後にそれがどう変わったのかを継続的に確認することで、患者さんのモチベーションの維持に繋がります。
また、患者さんの行動変容の段階として、「興味がない時期」「興味はあるけれども実行はしない時期」「興味があり少し実行してみる時期」「完全に自立して実行できる時期」の4段階があるといわれています。目の前の患者さんがどの段階なのかを見極め、次の段階に進んでもらうための方法を模索することが指導を成功させるポイントです。
目標の設定も漫然とおこなうべきではありません。もともと運動習慣のない患者さんに「1日1万歩歩きましょう」といっても実行するのは難しいでしょう。例えば認知症予防には5,000歩、生活習慣病予防には8,000歩、痩せたかったら10,000歩、と徐々に増やしていくのが良いと思います。また、ガイドラインで示されている運動量(毎日30分以上の定期的な運動、高齢者では心拍数110拍/分程度の軽い運動×週3日以上)はあくまで最終的な目標であり、最初はできることから少しずつ、継続することが何より大切です。全く運動経験がない方、冬場の寒さや路面の凍結などによる転倒のリスクがある方には家でできるレジスタンス運動を勧めます。実施セット数も最小限から開始して、まずは気軽に取り組んでいただけることを重視すべきでしょう。
運動の実施率向上のためには、患者さんそれぞれの身体機能や生活環境に応じた指導が必要ということですね。運動の重要性と低い実施率のParadoxを解消するために、医療者側が他にできることはありますか。
診察室では単に血圧値を診て終わりではなく、運動の実施状況を含めて患者さんが日常的に身体を動かせているかどうかを確認しましょう。先述の転倒やふらつきなども、「先生に言うほどでもない」と考える患者さんが少なくないため、こちらから積極的に聞く必要があります。過去1年間の転倒の有無や、椅子から立ち上がれるかどうかを確認し、初見や病歴、身体機能評価などを通して鑑別診断をおこない、その原因を探るというフローが老年医学では重要になります()。

図.高齢者転倒診療フローチャート
(大阪大学 老年・高血圧内科 監修)
加えて、運動習慣のない方には運動できない「理由」を尋ねてみることも必要です。中でも「痛み」はもっとも運動のモチベーションを下げる要因の一つです。このようなケースでは痛みを取ることが何より先決ですから、整形外科との連携も検討すべきでしょう。また、今まで運動経験がなく何をすればよいかわからない方には、患者向け講座や自治体のおこなっている健康プログラムへの参加を促し、同じような境遇の友人や配偶者といった「仲間」をつくっていただくのが効果的です。自分と他人を比べるきっかけにもなりますし、競い合うことで運動を継続するモチベーションにもなりえます。医師やパラメディカルができるのは指導までで、実際に運動できる環境や仲間を探してもらうのは患者さんの役目ですが、患者さんが自分からこういった取り組みに参加し、「運動していますか?」という問いに対して「していますよ」とお答えになれば運動指導はひと段落といえます。運動指導に説得力を持たせるには、医療者も普段から運動することが重要かもしれませんね。
運動習慣が身につくことで、患者さんは自分の体調に意識を向けるようになります。その結果、治療に対して医師任せにならず主体的に取り組めるようになります。1つの成功体験が、治療全体にポジティブな影響を与えるのです。
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消化器 消化器 演題1:逆流性食道炎診療では何を目指すべきか~PRO改善を目指して~
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12月12日(月)
19:00~20:30
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演題2:IBD患者の就労と服薬支援
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ディスカッション:充実した就労生活を送ってもらうための支援について
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12月12日(月)
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希少血液疾患 希少血液疾患 演題:出血ゼロ、制限ゼロを目指すマルチアングルな血友病診療のために
演題:薬剤師としての関わり方~PKに基づいた治療と生活~
演題:血友病診療における歯科衛生士の役割
演題:血友病性関節症を予防するための根拠に基づいた筋力トレーニング
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消化器 消化器 演題1:難治性潰瘍性大腸炎の現状と課題
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