ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

循環器いろは

循環器いろは

「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.3

降圧薬の種類は豊富…
ニモカカワラズ

大西 勝也先生
大西内科ハートクリニック

この50年間で高血圧の薬物治療は大きく変わりました。利尿薬やβ遮断薬が中心に用いられていた時代から、Ca拮抗薬やACE阻害薬、ARBが登場して治療の選択肢は格段に広がったのではないでしょうか。
旧来の高血圧薬物治療は使用できる薬剤が少なく、また使い方も現在ほど洗練されていなかったため、副作用の問題がそれなりにありました。また降圧目標達成に対する意識も高くはなく、例えば高齢者の収縮期血圧(SBP)は160mmHg程度でも良いとするような風潮があったため、なかなか治療に積極的になれない医療者や患者さんが少なくなかったように思います。しかし現在は、副作用の比較的少ない薬剤が充実し、加えてごく低用量での使用や、単剤増量よりも多剤併用で副作用の増強を回避するなど薬剤の上手な使い方に医師も慣れてきました。また、薬剤数を減らすことによって服薬アドヒアランスと患者さんの満足度の向上が期待できる降圧薬配合剤も各種登場し、以前に比べて高血圧の薬物治療はかなり選択肢が充実してきたと実感しています。
降圧薬の選択肢の充実に伴い、それを用いた治療ストラテジーも確立されてきたのですね。JSH2014ではCa拮抗薬、RA系阻害薬(ACE阻害薬・ARB)、利尿薬を第一選択薬としています。また、合併症例や降圧不十分例ではβ遮断薬やα遮断薬、アルドステロンブロッカーなども追加で選択できるようになっていますが、ガイドラインどおりの治療をおこなうと、どれくらいの患者さんが降圧目標を達成できるのでしょうか。
高血圧患者さんに対してJSH2014に沿った薬物治療をおこなった際の降圧目標達成率を、夏期と冬期の季節別に検討したことがあります。Step1:ARB単剤、Step2:ARBとCa拮抗薬の2剤併用、Step3:ARBとCa拮抗薬と利尿薬の3剤併用、と段階的に薬剤を追加し、それぞれどれくらいの割合で降圧目標値に達するかを調べました。その結果、全280例中60.7%がStep1で、83.9%がStep2で、95.4%がStep3で降圧目標値を達成していました(1)。つまり、JSH2014で示されているとおりの治療をきちんとおこなえば、95%の患者さんは十分な降圧が得られるだろうということです。

図.全症例における治療前後の早朝家庭血圧の変化(左)と降圧目標値達成時の降圧薬治療の割合(右)

Step1)ARB、Step2)ARB+Ca 拮抗薬、Step3)ARB+Ca 拮抗薬+降圧利尿薬
RH:resistant hypertension
(大西勝也ほか、20161)より引用)

しかし、わが国の降圧目標達成率は高血圧患者全体の約15~20%2)に過ぎないのが現状です。ガイドラインどおりの治療がなされていないということでしょうか。
いちばんの問題は、降圧目標値に対する意識の甘さだと考えています。例えば、若年、中年、および75歳未満の前期高齢者における家庭血圧の降圧目標値は135/85mmHg未満ですが、実際にはどのくらいまで降圧すべきでしょうか。血圧の変動やバラつきを考慮すると、SBPは120mmHg台まで下げなければ135mmHg未満にコントロールできているとは言えません。しかし、135mmHg前後の血圧値でも「十分に降圧できている」と考える医師は少なくありません。とくに高齢者は、ふらつきや副作用に対する過度の懸念から目標値が甘くなりがちです。現在のわが国の降圧目標達成率の低さは、医療者の降圧目標値に対する意識の低さの表れであると考えます。
一方、平成28年度の血圧降下薬の薬剤料の総額は4,354億円で、内服薬全体(4兆5,784億円)の中でもかなり高い割合です3)。降圧目標達成率を今以上に上げるには、さらに薬剤の処方量を増やすしかないのでしょうか。
医療経済的観点から言えば、仮に降圧目標達成率を上げるために更なる医療費が必要だとしても、降圧で得られる心血管イベントの抑制によって全体の医療費は下げられると考えられます。
しかし、もっとも重要なポイントは「処方した薬剤がどれだけきちんと飲まれているか」ということです。服薬アドヒアランスが不良なために降圧不十分である患者さんに、薬剤を追加したところで患者さんは飲まないでしょう。治療のアップグレードを考える際には、薬剤の用量が不十分なのか、または服薬アドヒアランスが良好でないのか、現在の治療でコントロール不良な理由を正しく把握することが必要不可欠です。
その把握に役立つのは、残薬カウントです。「きちんと飲んでいるか確認します」ではなく、「お薬が余っているともったいないので調節しますね」と言うと、大抵の患者さんは残薬を持参してくれます。そして、カウントの結果アドヒアランスが極端に悪いことが分かった場合、なぜ悪いのかをよく考えることが重要です。薬剤数が多いのであれば必要最小限に減らしてみる。服薬タイミングが複雑な場合は回数を減らす、または分包化してみるなど、患者さんが服薬しやすくなるような工夫が求められます。
高血圧における薬物治療環境の向上に反して降圧目標達成率は依然として低いという状況は、まさにHypertension Paradoxを示していると思われます。この状況を改善し、理想の高血圧治療に近づけるためにはどうしたら良いでしょうか。
患者さんが自分の身体に向き合い、健康寿命の延伸に向けた自己管理を主体的におこなえるようになることが高血圧治療を含めた理想の医療です。そのためには、まずわれわれ医療者が、現在の降圧目標達成率の低さを自覚しなければなりません。そして、医師や高血圧学会だけではなく、患者さん、そして政府やメディアに至るまで、国全体で同じ降圧目標値を共有することが重要です。皆がバラバラなことを言っていてはHypertension Paradoxは解消できません。降圧目標値は漫然としたイメージではなく、しっかりと線引きをする必要があります。
ただし、あまりに降圧目標の数値ばかりにこだわるのも考えものです。降圧目標値をあまりに重視しすぎると、患者さんは一度目標値を達成しただけで「治った」と考えてしまい、治療アドヒアランス低下の原因になります。目標を達成することは重要ですが、それよりも「血圧が上がることにより起こる脳卒中や心臓病を予防しよう」という観点を常にリマインドし、「なぜ降圧治療を受けているのか」を常に患者さんに意識してもらう必要があります。そこでわれわれが高い血圧値をそのままにしておけば、患者さんは「これでいいのか」と思ってしまいます。「血圧は低い値を維持しないといけない」ということを常に示していく必要があります。
全ての高血圧患者のうち、治療を受けている患者さんはその約半数と言われていますが2)、ここに含まれる患者さんの95%が降圧目標を達成できるような治療をガイドラインに沿ってしっかりとおこなうこと、それこそがわれわれプライマリ医にできるHypertension Paradox解消への第一歩ではないでしょうか。
  • 文献
  • 1)大西勝也ほか:血圧23:750,2016
  • 2)厚生労働省:平成27 年 国民健康・栄養調査報告,2017
  • 3)厚生労働省:平成28 年度 調剤医療費(電算処理分)の動向,2017
記事一覧を見る

製品情報

更新情報

講演会情報

開催日時 種類 領域 講演会 対象
2021年
9月29日(水)
19:00~19:30
Web
講演会
中枢 中枢 真のリカバリーを目指すうつ病治療における新たな知見 全会員 詳細・申込へ
2021年
9月30日(木)
17:30~18:15
Web
講演会
消化器 消化器 【レベスティブ全国Web説明会】
短腸症候群に対する新しい治療薬~テデュグルチドの有効性・安全性について~
全会員 詳細・申込へ
2021年
9月30日(木)
18:00~19:00
Web
講演会
消化器 消化器 演題1:医療経済評価に基づく逆流性食道炎治療
演題2:開かれたフォミュラリーの活用と効果~PPI/P-CAB群を例にして~
全会員 詳細・申込へ
2021年
10月1日(金)
19:00~20:20
Web
講演会
オンコロジー オンコロジー 演題1:局所進行肺がんの現状と本当は話したくない呼吸器外科Trouble cases
演題2:ALK陽性非小細胞肺癌の治療戦略-ブリグチニブの位置づけ-
全会員 詳細・申込へ
2021年
10月4日(月)
18:00~19:40
Web
講演会
オンコロジー オンコロジー PARP阻害剤は卵巣癌治療をいかに変えていくか 全会員 詳細・申込へ
2021年
10月4日(月)
19:00~19:50
Web
講演会
中枢 中枢 成人期ADHDと気分障害併存例の診断と治療 全会員 詳細・申込へ
2021年
10月6日(水)
17:30~18:15
Web
講演会
消化器 消化器 【レベスティブ全国Web説明会】
短腸症候群に対する新しい治療薬~テデュグルチドの有効性・安全性について~
全会員 詳細・申込へ
2021年
10月7日(木)
19:00~20:00
Web
講演会
消化器 消化器 演題1:IBD診療におけるワクチン接種〜コロナ禍でも忘れてはいけないこと〜
演題2:ベドリズマブが変えたCDの内科治療~ベドリズマブをどう活かすか・どう拡げるか?~
全会員 詳細・申込へ
2021年
10月7日(木)
19:00~20:00
Web
講演会
オンコロジー オンコロジー 演題1:最新情報を踏まえたブリグチニブの位置づけ
演題2:アルンブリグの使用経験~安全性と有効性の観点から~
全会員 詳細・申込へ
2021年
10月7日(木)
19:00~19:40
Web
講演会
ワクチン ワクチン 帯状疱疹関連痛 予防と治療 全会員 詳細・申込へ

コンテンツ情報

Medical Tribune ニュース

免責事項powered byMedical Tribune news一覧へ