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循環器いろは

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「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.12

日本高血圧学会は創立から40 年…
ニモカカワラズ

伊藤 貞嘉 先生
東北大学大学院 腎・高血圧・内分泌学分野

2018年4月で日本高血圧学会は創立から40年を迎えられました。1978年の創立当時、わが国の高血圧治療はどのようなものだったのでしょうか。
1953~1964年に東北大学第二内科を受診した患者さんを30年間追跡した富永らの報告1)から、当時の高血圧治療の実情が窺えます。日本高血圧学会(JSH)が設立された1970年代は使用できる降圧薬の選択肢がまだ乏しく、主に交感神経抑制薬や利尿薬による治療がおこなわれていました(図1)。当時の治療対象は重症高血圧患者で、とくに眼底所見で乳頭浮腫や出血を認める悪性高血圧例では、その多くが30~40代の若年にもかかわらず、2~3年で脳卒中や心筋梗塞により亡くなっていました。悪性高血圧は、一度発症してしまうと救命が極めて難しい疾患だったのです。
しかしこの状況に、医者もただ手をこまねいていたわけではありません。当時、交感神経系に加えてレニン・アンジオテンシン系の研究も盛んにおこなわれており、1983年には初めてのACE阻害薬であるカプトプリルが上市されました。これにより、悪性高血圧のコントロール状況はかなり向上しました。また、狭心症治療薬として登場したCa拮抗薬が1980年代前半には降圧薬として使用できるようになり、さらに1985年に長時間作用型のCa拮抗薬が登場すると、より血圧は管理しやすいものとなりました。
このように、当時は悪性高血圧をはじめとする高血圧をどう治療するべきかという大きな問題に対して、高血圧の成因から研究し、これを克服しようという機運が高まっていた時代でした。こうした背景のもとで、JSHは発足したのです。
図1.追跡調査の時代背景(富永忠弘ほか、19961)より)
この40年間で、わが国の高血圧治療を取り巻く環境は大きく変化してきたかと思います。JSHはこうした変化にどのように関与してきたのでしょうか。
JSHの歩みは、先述のように治療法の乏しかった発足当時から、新たな薬剤の登場に伴い治療成績が向上してきた時代の流れと共にありました。1970年代の利尿薬と交感神経抑制薬を主体とした治療から、1980年代にはCa拮抗薬やACE阻害薬が登場し、その種類を増やしていきます。1998年には初のARBが加わり、これらの薬剤の選択・併用によってかなり効率良く血圧のコントロールができるようになりました。
また、二次性高血圧の診断・治療に関しても目覚ましい進歩がありました。以前は外科手術が必要だった腎血管性高血圧は、1980年代に経皮的腎血管形成術(PTRA)がおこなえるようになり、非侵襲的に治療することが可能になりました。また、原発性アルドステロン症に関しても治療には開腹手術が必要でしたが、現在はより侵襲性の低い腹腔鏡手術がおこなえます。また診断に関しても、画像診断の精度の向上に加え、副腎静脈サンプリングによって局在診断が可能となっています。
JSHはこうした新規薬剤や診断・治療に関する研究、その効果の検証などの知見を集積してきました。国民の血圧平均値の年次推移をみるとこの40年間で約10mmHgほど低下しています2)。その背景にある治療の充実に、JSHはおもに学術的な側面から注力してきました。
その知見を広く共有するためのわが国独自の「高血圧治療ガイドライン」の作成も、学会の重要な役割の一つですね。
学会が発足する1年前の1977年にJNC13)が発表され、翌年にはWHOが「軽症高血圧治療ガイドライン」4)を発表しています。わが国の高血圧治療は長らく、こうした海外のガイドラインを参考にしていました。1990年には厚労省と日本医師会による「高血圧診療のてびき」5)が発刊されたものの、基本的には海外ガイドラインの翻訳版に近く、日本のエビデンスを盛り込んだJSH主導のガイドラインを要請する声が高まっていました。そして1999年に藤島正敏委員長のもとガイドライン委員会が発足し、翌年「高血圧治療ガイドライン2000」として発行されました。その後、2004年、2009年、2014年と改訂が進められ、現在も来年2019年の改訂に向けた作業が進められています。
学術集会(総会)の開催も、最も重要な学会の役割の一つかと思います。40年でそのあり方はどのように変わったのでしょうか。
1978年に第1回総会が金子好宏会長のもと開催されました。金子先生はCouncil for High Blood Pressure Researchおよび国際高血圧学会(ISH)創設の中心となられたPage先生のもとで学ばれ、同窓の尾前照雄先生、荒川規矩男先生らと共にJSHの創設に尽力されたお一人です。当時の学会員数は300名ほどでしたので開催は1会場のみ、演題も各研究室から2題までしか発表できませんでした。当時の抄録を見ると、基礎研究や病態に関する発表が多いことが分かります(図2)。その後参加者数が徐々に増加し、1996年に仙台で開催された第19回総会で初めて2会場制となりました。
私自身も2016年に第39回総会開催の栄誉に浴することができ、その後2年間理事長を務めました。活動方針は「若手育成」「国際性」「社会貢献」の三本柱を軸としました。このうち、「若手育成」と「国際性」は両輪となるもので、若手が世界の舞台で活躍することにこそ意味があると考えています。JSHはこれまでも、ISHや米国心臓協会(AHA)などに若手を積極的に派遣し、またYoung Investigators Awardなどを通して若手の研究を奨励しています。さらに2016年のHypertension Summitにおいて、ISHとのよりいっそうの協調を確認する「京都宣言」が発表されました。ISHへの若手の参加推進、ISH New Investigator Committeeとの合同シンポジウム開催など若手育成にも力を入れる内容となっています。JSHはこれまでに2回のISH開催を経験していますが(1988年京都、2006年福岡)、2022年の京都開催も決まり、今後もより強固な連携を持ってJSHの国際性を示せるものと考えています。また、2018年の臨床高血圧フォーラムではアジア太平洋高血圧学会(APSH)Morgan先生らとも「アジアにおける京都宣言」を共有しました。このような国際的な協力関係の構築が、次世代の研究者への良い連鎖となることを願っています。
図2.日本高血圧学会総会抄録(1982 年)
これまで、JSHはどちらかというと学術的な側面からわが国の高血圧治療水準の向上に尽力してこられたと思いますが、Hypertension Paradoxの解決のためには今後どのような取り組みが必要とお考えでしょうか。
Hypertension Paradoxの背景には、患者さんも医師も降圧の重要性を十分に理解していないことに加え、保健指導が実際に患者さんに届いていないことや、ガイドラインが現場に届いていないことなどの問題があります。つまり、学問の進歩をきちんと住民に伝える仕組みを作る必要があるということです。2016年の総会では、保健師の熊谷勝子さんに「高血圧ガイドラインを住民のものに」と題した企画を立案いただき、患者指導の現場における現在の問題点について討議いただきました。保健師は地域住民の指導において非常に重要なプレイヤーです。彼らはその地域の患者特性や行政の特徴、医療費の動向、伝統や食文化などに通じており、問題点もよくわかっておられます。地域に根差した啓発活動は、住民の心を理解している人でないと難しく、それができるのは保健師さんやその地方の行政職員の方々です。
2018年の第41回総会においてJSH新理事長の伊藤裕先生によって発表された“JSH Future Plan”では、重点項目である社会啓発の一環として「高血圧制圧モデルタウン」の構想が掲げられました。住民、行政、教育機関など地域全体を巻き込んだ「高血圧のない町を作ろう」という壮大な取り組みで、その実現のためには医師以外のパワーが不可欠です。高血圧はありふれた病気で、既に問題は解決したかのように思われがちですが、実はそうではないということを訴え、国民や産業界、行政に協力の輪を広げていきましょう。JSHの今後の活動に期待しています。
  • 文献
  • 1) 富永忠弘ほか:Therapeutic Research 17:2655,1996
  • 2) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014),日本高血圧学会,東京,2014
  • 3) Joint National Committee on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure:JAMA 237:255, 1977
  • 4) WHO Expert Committee:Arterial hypertension, Technical Report Series 628, WHO, Geneva, 1978
  • 5) 厚生省・日本医師会:高血圧診療のてびき,日本醫事新報社,東京,1990
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