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循環器いろは

循環器いろは

「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.10

降圧の臓器保護効果はわかっている…
ニモカカワラズ

八田 告 先生
医療法人 八田内科医院

臓器保護の観点から、降圧が何より重要であることは広く知られています。しかし、わが国の高血圧患者における降圧目標達成率は低く、とくに臓器合併症のある患者では25%ほどしか目標が達成できていないとされています(J—GAP2)1)。実臨床において、これらの患者さんの血圧コントロールはそこまで難しいのでしょうか。
JSH2014の定める糖尿病および尿蛋白陽性のCKD患者における降圧目標値は130/80mmHgで、これは他の臓器障害合併高血圧や本態性高血圧の降圧目標値よりも低い値です。しかし、十分に達成可能な目標値であると思います。
また臓器保護、とくに私の専門である腎臓の観点からは、尿蛋白陽性例では可能な限り低い血圧値を目指すべきであると考えています。そもそも尿蛋白が出ているというのは腎臓にとっては一大事です。尿蛋白は「腎臓のなみだ」であり、「腎臓が泣いている」状態といえます。すなわち、糸球体に強い圧がかかって再吸収が追いつかないほど尿細管に蛋白が漏れ出ているので、とにかく圧を弱めて糸球体の負担を軽減することが必要なのです。ですから生活に支障が出ない限り、たとえ収縮期血圧が100mmHgや90mmHg台にまで下がっても問題ないと患者さんにはお伝えしています。
The lower the betterということですね。しかし、とりわけ高齢者などはふらつきや転倒などへの懸念から、厳格降圧に消極的な先生もおられるのではないでしょうか。
一言で高齢者といっても、患者さんの状態は様々です。例えば、お名前を呼んでから診察室に入るまでにとても時間がかかるような高齢患者さんや、認知症のある患者さんには、過降圧を避けた慎重な管理をおこないます。また、動脈硬化の進行した患者さんは脳虚血への懸念があるため、緩やかな降圧が必要です。しかし、このようなリスクのない患者さんでは、たとえ高齢であっても可能な限り降圧すべきであると考えます。
当院ではほぼ全例に頸動脈エコーを実施しており、加えて心エコーや心電図、FMDなどの検査を通して、それぞれの患者さんの血管の状態や血行動態、圧受容体反射感受性を把握するようにしています。その他にも日頃の生活の様子や住環境、家族構成といった情報を総合して患者さんの元気度を測り、過降圧が問題となりそうな患者さんなのか、そうでないのかを判断しています。
また、こうした検査データを患者さんご本人と一緒に確認して「心臓が疲れていますね。身体は辛くないですか?」「血管が痛んでいますね。いま放置したら10年後にはもっとたくさんの薬を飲むことになりますよ」などとお話しします。ご自身の臓器障害のリスクについて理解を深め、前向きな治療のきっかけとしていただくためです。
地域に根差した開業医ならではの工夫といえますね。The lower the betterという方針においては、服薬アドヒアランスの確保が非常に重要な課題となりますが、患者さんはどのようなモチベーションで治療参画されているのでしょうか。
患者さんへの説明に際して、私は腎臓病を「保存期腎不全号」という電車に例えています。この電車は「尿蛋白」と「高血圧」という2つのアクセルを蒸かして終点の「透析駅」へと一方向に進むため、進行を遅らせるには尿蛋白や高血圧のコントロールや減塩が不可欠であることを日頃の診療でお伝えしています。また、患者さんを対象とした健康セミナーを院内で定期的に開催し、ご自身の健康管理のモチベーションを高めていただく機会としています。以前、「血圧」をテーマに降圧目標値や正しい家庭血圧測定方法を解説した際には、100名近い患者さんが参加してくださいました(写真)。「なぜ血圧を下げる必要があるのか」を正しく理解することが、治療アドヒアランスの更なる向上につながると考えています。
また、患者さんは起立性低血圧やシックデイ、夏場の脱水時の過降圧などを経験することで「降圧が怖い」という感覚になりがちです。そのため当院では、「血圧が下がり過ぎて不安だったら服薬を一旦やめてから来院してください」とお伝えしています。また、風邪で熱があるときも降圧薬は中止するよう指導しています。現状、降圧治療においてシックデイのルールは定まっていませんが、ある程度決まった対応があれば患者さんは安心して服薬を続けられますので、将来的にはガイドラインなどでも取り上げられることを期待しています。

写真 健康セミナーの様子

写真 健康セミナーの様子
一方、医療者側が治療強化に慎重であることも、わが国の降圧目標達成率が低い要因として挙げられます。とくに臓器合併症のある高血圧患者さんの降圧目標達成率を向上させるには、どのような診療の工夫が必要でしょうか。
先述のように、過降圧への懸念から高血圧や尿蛋白のコントロールが十分でないケースでは、将来的なイベント発症や透析導入のほうが患者さんにとっては大きな問題であることを認識したうえで、緩徐な降圧が必要な患者さんとそうでない患者さんをしっかり区別すべきです。
加えて、処方医が降圧目標達成までの道筋をしっかりイメージしておくことも重要です。単剤から降圧治療を開始し、医師の指示どおりにきちんと服薬していたにもかかわらず降圧不十分として2剤目、3剤目を徐々に追加されるような状況では患者さんはやる気を失いますし、医師への不信感にもつながりかねません。したがって患者さんの現在の血圧値と保有リスクから推察される治療の長期的なビジョンを、最初に患者さんと共有することが求められます。当院では、「あなたの高血圧は頑固だから、降圧薬を3剤くらい使う必要があります。でも急に下げると体がびっくりしてしまうので、まずは1剤から始めて徐々に増やします」「だいたい○ヵ月程かけて降圧目標値まで下げます」「季節によって血圧は変わるので、冬になったら1剤増やします」などと、あらかじめ長期的な治療の流れを患者さんに示すようにしています。予定どおりに血圧が下がっていけば患者さんも嬉しいですし、同じ目標に向かって医師と協働しているという実感はモチベーションの維持につながります。
降圧による臓器保護作用がよく知られているにもかかわらず、臓器保護がとくに必要な患者さんの降圧目標値が低いというHypertension Paradoxの解消のためには、今後どのような取り組みが必要でしょうか。
多くの研究やエビデンスの集積がある知見を実地に浸透させていくには、専門医と実地医家、すなわちかかりつけ医が互いの知識を交換できる場が必要です。例えば「腎保護のための降圧」と一言でいっても、尿蛋白の抑制を目的とした場合と、腎血流保護を目的とした場合とで推奨される降圧薬が変わりますが、こうした知識を腎専門医は実地医家に広めていく必要があります。また、患者さんが適切な治療を受けて透析導入を回避するためには、開業医と腎専門医の連携も不可欠です。検尿実施の周知徹底の他、腎専門医への紹介のタイミングや診療内容、教育入院の内容や退院後の治療は誰がおこなうのかなど、連携の内容を明確にして紹介しやすい体制を整えることが求められます。
われわれは2018年5月に京都府医師会内の専門医会として「京都腎臓医会」を立ち上げ、このような腎専門医と実地医家のスムーズな連携の構築や啓発活動を推進しています。医会や学会が地域の核となって強固な連携体制を構築することで、新規透析導入患者さんを一人でも減らしていきたいですね。
  • 文献
  • 1) 寺本民生,藤田敏郎:Prog Med 30:1437,2010
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