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循環器いろは

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「ニモカカワラズ」を変える!Hypertensiton Paradoxへの挑戦

vol.25No.1

高血圧治療は進歩した…
ニモカカワラズ

島本 和明先生
日本医療大学 総長 札幌医科大学 名誉教授

近年、Hypertension Paradoxという言葉を耳にする機会が増えています。一体どのような概念で、いつごろから認識されるようになったのでしょうか。
もともとは2009年に米国のChobanian先生が提唱された言葉1)で、高血圧治療の発展・進歩にもかかわらず、多くの高血圧患者さんにおいて適切なコントロールがおこなわれているとは言い難いというパラドックス、逆説的な現状について提起したものです。2016年の高血圧学会総会にて、ISH理事長のTouyz先生がご講演でHypertension Paradoxについて取り上げられ、現在のわが国の高血圧治療の現状を大変良く表す言葉であることから興味を持たれた先生も多いのではないでしょうか。
確かに、20世紀初頭に血圧聴診法が普及しはじめてから本格化した高血圧研究は、この100年で目覚ましい進歩を遂げました。降圧薬の種類も多く、治療の選択肢も広がっています。
血圧測定が非侵襲的かつ簡便におこなえるようになり、高血圧の診断は容易になりました。また健診の普及や、高血圧という疾患が広く知られるようになったことも重要なポイントです。実際、わが国の高血圧治療率の年次推移をみると、高血圧患者さんの中で降圧薬を服用している方の割合は1980年には60歳代の方で約3割程度に過ぎませんでしたが、2010年の調査では約5割ととりあえず上昇はしています(図12)。とはいえ、高血圧患者さんの約半数しか治療介入がされていないという現状は到底満足のできるものではありません。

図1.高血圧治療率の年次推移(1980~2010 年)

*高血圧者の中で降圧薬を服用している者の割合
〔 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014),日本高血圧学会,東京,2014〕

薬物治療の進歩についても、以前は利尿薬や交感神経抑制薬を中心としていたものが、現在ではCa拮抗薬やACE阻害薬、ARB、直接的レニン阻害薬などのRA系阻害薬やアルドステロンブロッカーが加わって選択肢が増え、併用療法によって単剤ではなかなか降圧が得られない患者さんでも降圧目標を達成できるようになっています。先ほどのデータの降圧薬を服用している患者さんのうち、収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg未満にコントロールできている方の割合をみますと、1980年には約10%前後だったのが2010年には30~40%前後に増加しています(図22)。しかし、治療介入されている患者さんですら60~70%が降圧目標に到達していないということですから、管理状況は良くなったとはいえ、それでも大変に深刻な事態であるといえます。すべての高血圧患者さんのうち治療を受けているのが約半数、そのうちきちんと血圧管理がなされているのがそのさらに30~40%ですから、全体でみると適切に血圧管理がなされている高血圧患者さんはたったの15~20%に過ぎないという厳しい現状をまずはしっかりと認識する必要があります(図32)

図2.高血圧管理率の年次推移(1980~2010 年)

*降圧薬を服用している者の中で収縮期血圧140 mmHg 未満かつ拡張期血圧90 mmHg 未満の者の割合
〔 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014),日本高血圧学会,東京,2014〕

図3.NIPPON DATA2010 からみた高血圧管理状況

現在までの知見や整備されたガイドライン、薬剤ラインナップをもってしても良好な管理状況にあるといえるのは全体の15~20%、というのは楽観視できない数字ですね。これは現在の治療水準からみて妥当なのでしょうか。
個人的には、本当に治療抵抗性の降圧が難しい患者さんは実際にはさほど多くはなく、高血圧患者さんの95%は現在の高血圧治療の水準で十分にコントロール可能なのではないかと考えています。JSH2014では、クラスの異なる3剤の降圧薬を用いても目標値まで降圧しない例を治療抵抗性高血圧としていますが、減塩や減量、運動などの生活習慣改善や、服薬アドヒアランスの改善、降圧薬の組み合わせや用量の見直しなど、コントロール不良を招く要因を考慮した対策をおこなうことを勧奨しています。
患者さんの生活習慣や服薬アドヒアランスの改善などは、重要性は周知されているものの実臨床においては苦労されている先生が多いですよね。やはり患者教育が重要なのでしょうか。
確かに、高血圧は自覚症状がないこともあってあまり治療に積極的でない患者さんもいらっしゃいます。高血圧患者さんの意識・行動調査では、疾患を深刻だと感じている、あるいは重症だと感じている患者さんはどちらも2割に満たず、また6割以上の患者さんが治療は気楽にやれば良いと考えていることが報告されています3)。したがって患者さんへの教育・啓発は確かに重要ですが、患者さん側にだけ問題があるかというと決してそうではありません。
医師に対して実施された医療ニーズの調査によると、高血圧症に対して「十分満足のいく治療がおこなえている」「ある程度満足のいく治療がおこなえている」と回答した医師は98.9%で、対象となった60疾患のうち最も多かったとのことです4)。前述のように、適切な管理状況にある高血圧患者さんが全体の1/5程度に過ぎない状況にもかかわらず、ほぼすべての医師が現在の治療に満足していると考えているのです。まずは、現状の降圧治療は決してすべての患者さんにとって満足のいくものではないことを医療者側が認識すべきであり、その向上に努めようという意識を持つべきではないでしょうか。
例えば、収縮期血圧の目標値が140mmHg未満である場合、実際の収縮期血圧は130mmHg台以下である必要がありますが、140mmHg台前半でも管理できていると判断されているケースを散見します。降圧目標未達成群では、達成群に比べて心血管疾患発症リスクが約2倍になると言われていますので5)、目標値を強く意識した降圧治療は患者さんのためにも不可欠です。
Hypertension Paradoxを解消し、理想の高血圧治療に近づけるためには医療者、患者さんのそれぞれが現状の高血圧治療に満足しない姿勢が重要ということですね。その他にはどのようなことが求められるのでしょうか。
Paradoxの解消のために必要なステップの第一歩は、高血圧患者さんの約半数を占める未治療の方を受診に導くことです。そのためにはきちんと健診を受けていただき、収縮期血圧が130~139mmHgの方への保健指導、140mmHg以上の方への受診勧奨を徹底し実行していただくことが重要です。保健師さんや栄養士さんにもご協力いただく必要があるでしょう。そして、行政やメディアなど社会の高血圧に対する意識向上もわれわれの責務です。高血圧学会による正しい啓発メッセージの発信、行政への働きかけを継続しておこなっていくことが重要です。
Hypertension Paradoxの解消はわが国全体の健康寿命の延伸にも繋がります。医療者、患者さん、社会が三位一体となってこの問題の解決を目指していきましょう。
  • 文献
  • 1)Chobanian AV:N Engl J Med 361:878, 2009
  • 2)厚生労働省:平成27 年 国民健康・栄養調査報告,2017
  • 3)塩野義製薬:高血圧患者の意識・行動調査(T—CARE Survey Plus),2014
  • 4)公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団:平成26 年度(2014 年度) 国内基盤技術調査報告書 「60 疾患の医療ニーズ調査と新たな医療ニーズ」,2014
  • 5)Lanti M et al:J Hypertens 33:736, 2015
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